「埋もれ毛」できて炎症…皮膚科に聞く「埋没毛」の予防法と対処法、できやすい人の特徴とは

 首元に埋もれ毛(埋没毛)ができ、よく炎症を起こします。埋もれ毛ができないようにする予防法や、できた時の対応を教えてください。(福井県福井市、40代男性)

【お答えします】加畑雄大・福井赤十字病院皮膚科副部長

埋没毛ができやすい人の特徴は…

 毛穴がふさがり角質の中で伸長してしまった毛は、一般的に「埋没毛」と呼ばれています。あせもやかぶれ、ニキビなど、いわゆる「肌荒れ」が続いている人で埋没毛は生じやすいです。

 皮膚の細胞は分裂を繰り返し、最終的に角質となって剥がれ落ちます。細胞の入れ替わりには4~6週間かかり、これをターンオーバーといいます。皮膚の表面は剥がれ落ちる前の角質で覆われており、角層と呼ばれています。部位によっても異なりますが、厚さは0.02ミリほどで、水分を保つ「保湿」や外的から身を守る「バリア機能」といった重要な役割を果たしています。

 皮膚に炎症が生じると、ターンオーバーが障害され正常な角質が作られなくなります。機能の低下した角質は、層を厚くすることで保湿やバリア機能といった役割を果たそうとします。そうして厚くなった角質が毛穴をふさぎ、毛が正常に伸長することができなくなり、埋没毛ができることがあります。

皮膚科に聞く予防法、埋没毛を「抜く」は注意

 埋没毛を予防するには、皮膚の炎症を抑えて健常な角層を保つことが重要です。炎症が長く続くと、角質は厚くなりザラザラと硬くなります。厚くなった角質を無理に剥がそうとすると、皮膚は傷つき、さらなる炎症を誘発してしまいます。過度な剃毛(ていもう)や脱毛によっても炎症を生じてしまうため、埋没した毛を抜くことにも注意が必要です。

 埋没毛を繰り返す部分は、もともとの皮膚の状態が悪化していると考えられます。皮膚を清潔に保ち、刺激を避け、保湿を行って良い状態を保つようにケアすることが重要です。

 日常的にケアを行っても首や顔などで肌荒れが続いている方は、お近くの皮膚科を受診して治療を受けることをおすすめします。皮膚の炎症の原因はさまざまで、普段使用している化粧水やクリームによって悪化している場合もあります。また、少しの刺激で皮膚炎を繰り返してしまう「アトピー性皮膚炎」は、角層の機能の低下が原因の一つと言われています。

 皮膚は内臓の鏡という言葉もあり、生活習慣も影響します。バランスのとれた食事と規則正しい生活も是非心がけてみてください。

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