車いすでも海水浴、SUP楽しむ…福井県敦賀市で「ユニバーサルビーチ」 有志が企画「一緒に楽しめること増やしたい」

水陸両用車いすで海水浴を楽しみ、笑顔を見せる田中さん=9月9日、福井県敦賀市の赤崎海水浴場

 障害がある人も、ない人も海を楽しむ「敦賀ユニバーサルビーチプロジェクト」が9月9日、福井県敦賀市の赤崎海水浴場で開かれた。専用の車いすで海に浮かんだり、スタンドアップパドルボード(SUP)を楽しんだりして、来場者に笑顔が広がった。10日も開催する。

 障害の有無にかかわらず、すべての市民が住みやすいまちづくりにつなげたいと有志が初めて企画。車いす利用者らがアウトドアレジャーなどさまざまな体験ができるよう支援する「南知多ユニバーサルビーチプロジェクト」(愛知)の協力で実施した。

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 10年前、海に飛び込んだ際の事故で車いす利用者となった田中達(いたる)さん(40)=同市=はサポートを受けながら、水陸両用車いすで海に入った。事故以来の海水浴を楽しみ「最高。ここまで来るのに10年かかった。最高」と感慨深げ。「(ユニバーサルビーチを)定着させて、敦賀だけでなく、交流がある滋賀や奈良の海のないまちの人にも広めたい」と話した。

 田中さんと中学の同級生で、主催した松本あかねさん(41)=同市=は「10年ぶりに海に入った様子を見て、本当にできてよかったと思う」と目を潤ませた。「多くの人にユニバーサルビーチに来てほしいし、(海水浴以外にも)一緒に楽しめることを増やしていきたい。優しいまちをPRしていけたら」と力を込めた。

 来場した子どもたちに、電動車いすに試乗してもらう場面も。田中さんは「車いすが必要な人がいることや、自分もいつか(障害者に)なるかもしれないと伝えることで、周りで見かけたとき何かできることで手伝うきっかけになれば」と理解の広がりに期待していた。

 会場では音楽ブースやフリーマーケット、キッチンカーなどが並ぶ催し「BAYSIDE PARK」が同時開催され、にぎやかな雰囲気に包まれた。10日は午前10時~午後5時。

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