島田くずし復活に歓声 豪華絢爛、神輿と枠旗巡行 4年ぶり中島でお熊甲祭

妙技「島田くずし」を豪快に披露する男衆=七尾市中島町谷内

 国重要無形民俗文化財「お熊甲祭(くまかぶとまつり)」は20日、七尾市中島町宮前の久麻加夫(くまかぶ)都(と)阿良加志比古(あらかしひこ)神社などで行われ、4年ぶりに神輿(みこし)や枠(わく)旗(ばた)が巡行した。高さ約15メートルの枠旗を地面すれすれに倒す妙技「島田くずし」も復活し、広場には金色の神輿と深紅の枠旗が並んだ。豪華絢爛(けんらん)な情景を目の当たりにした住民からは「やっとにぎわいが戻って来た」と喜びの声が聞かれた。

 お熊甲祭はコロナ禍と台風の影響で3年間神事のみとなっていた。今年は全19末社のうち、14末社の神輿14基、枠旗13本が早朝から神社に集まった。境内では天狗(てんぐ)の面を着けた猿田彦の軽妙な舞が披露された。

 神事の後、神輿と枠旗の行列は神社から約700メートル離れたお旅所「加茂原(かもわら)」へ移動。祭りの目玉「島田くずし」で男衆が旗を倒し、その下を神輿や太鼓役が勢いよくくぐり抜けると、見物客から大きな拍手と歓声が起こった。

 男衆として祭りに参加した田岸地区の平石真人さん(38)は「4年間祭りができなかったうっぷんを晴らすように、皆が楽しんでいた。祭りができて良かった」と笑顔を見せた。永谷誠行(のぶゆき)奉賛会長(80)は「子どもから大人まで多くの人が集まり、地域の絆がより深まったと思う」と満足そうに話した。

  ●助っ人も参加

 各末社では担い手不足が懸念されており、町外から「助っ人」を求める地区も増えている。小牧地区では能登半島地震を機に2008年から交流を続ける県立大の「学生援農隊あぐり」や、神戸市の非政府組織(NGO)団体のメンバーら35人が参加した。

軽妙に舞う猿田彦=七尾市中島町宮前の久麻加夫都阿良加志比古神社

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