「学ぶことが本当に楽しい」 91歳で放送大卒業 開設以来最高齢 「名誉学生」目指す

学位記を受け取る増淵さん=1日午前、宇都宮市峰町

 栃木県宇都宮市峰町の放送大学栃木学習センターで1日、学位記授与式が行われ、91歳の同市平松本町、増淵孝司(ますぶちたかし)さんが出席した。1995年のセンター開設以来最高齢の学生で、今回は同大の全6コース中2コース目の卒業を果たした。娘から贈られたガウンと角帽を身に着け、式に臨んだ増淵さん。「学ぶことが本当に楽しい。勉強を続けたい」と語り、全コース卒業で授与される「名誉学生」を目指す決意を新たにした。

 増淵さんが最初に放送大学へ入学したのは96年。「ぼけ防止につながる語学学習が近所でできる」と考え、宇都宮大峰キャンパス内にある栃木学習センターの門をくぐった。

 これまで旧制宇都宮中(現宇都宮高)、宇都宮大に通ったが、「もっと学びたかった」との思いもあったという。北海道庁を定年退職して今の自宅に移り住んで数年後、近くにセンターができた。

 センターでは中国語やフランス語などを学習した。当初は卒業まで考えていなかったが、思いの外、成績が良く自信が付いた。

 2021年に最初の「人間と文化」コースを卒業。すぐ「生活と福祉」コースへ再入学した。「まだまだ知らないことがたくさんあると気付いた。学ぶことが本当に楽しい」と2コース目も順調に終えた。

 2回目の学位記授与式となった1日、札幌市内に住む三女(58)のプレゼントという黒いガウンと角帽を身に着けた。センターの伊東明彦(いとうあきひこ)所長から学位記を受け取り、「2回目の卒業もうれしい。角帽は若く見える気がして気に入っている」と家族の支えにも感謝した。

 伊東所長は「自分から学ぼうという意欲が強く、感心させられる」と脱帽。「元気だから勉強することができる。高齢社会で生涯学ぶことは重要。今後も協力していきたい」と述べた。

 毎朝のジョギングなどで健康にも気を配る増淵さん。残る4コースの卒業を見据えており、「学ぶために健康を維持しようと思える。来年は『社会と産業』コースに挑戦する」と意気込んでいる。

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