“国の後押し”でリニア問題は解決するのか「新幹線の停車本数1.5倍」に川勝平太静岡県知事は姿勢崩さず…【解説】

リニア中央新幹線の問題は、静岡県内でこう着状態が続いていて、解決の見通しが立っていません。10月20日、国土交通省が発表した調査結果には、どんな意味があるのでしょうか。静岡県政の担当記者が詳しく解説します。

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<坪内明美記者>
10月20日の調査結果は、まさしく静岡県をターゲットに出したもので、岸田文雄総理をはじめ、国がリニア問題の解決を本気で図ろうとしている証拠ともいえます。

2022年10月、岸田総理はリニア開業後に静岡県に停車する新幹線の本数を増やすため、政府として関与すると表明していました。2023年1月には「夏をめどに一定の取りまとめをする」と表明していました。

ただ、取りまとめはなかなか提示されず、川勝平太静岡県知事は9月、総理に説明を求める発言をしていました。こうした経緯を経て、10月20日、ようやく国交省が静岡県のメリットを示した形です。

<井手春希キャスター>
国のシミュレーションでは、停車する本数をどうやって増やすのでしょうか。

<坪内記者>
リニア中央新幹線が開通すると、東京と名古屋、大阪といった大都市間を直行で行き来する人がリニアを使うことが予想されます。

そうすると、静岡県を通過する東海道新幹線の「のぞみ」に乗る人が減るので、その分「ひかり」「こだま」を増やせば、新幹線が静岡県内に停まる回数が増えるという考え方です。おおよそ1.5倍増えるという計算です。

<井手キャスター>
静岡県内への経済効果が1,679億円となると期待は膨らみます。これでリニア問題は解決に向かうのでしょうか。

<坪内記者>
まず、今回の調査はあくまで国交省の試算です。本当に新幹線の停車が増えるかどうかは、JR東海が決めることになります。JR東海は「今回の調査結果も参考にしながら、お客様に便利なダイヤを検討していきたい」とコメントしています。

一方、川勝知事は20日のコメントで国に対して「JR東海への的確なご指導をお願いしたい」と述べるなど、リニアに対する姿勢は崩していません。現状では、今回の調査結果が即座に問題解決につながるというイメージは分からないというのが実情です。

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