県庁周辺活性化へ構想 県と富山市、富大、同友会トップで懇話会設立

解体工事が進むNHK富山放送局跡地。県庁周辺エリアのにぎわい創出が課題となっている=6月、富山市内

  ●来年度、ビジョン提言

 富山県と富山市、富大、富山経済同友会のトップらによる公民連携の懇話会が27日設立し、初会合を開いた。県都の県庁周辺エリアの活性化に向けた構想を探る。エリアは富山駅周辺と、西町・総曲輪通りや中央通り商店街などの中心商業地区に挟まれながら、官庁街のためにぎわいが少なく、空洞化の懸念がある。懇話会は10、20年後のまちづくりの構想を取りまとめ、来年度にビジョン提言を目指す。

 懇話会は富山経済同友会の呼び掛けにより、同会と富山商工会議所、富大で構成する。牧田和樹富山経済同友会代表幹事が座長に就き、新田八朗知事と藤井裕久富山市長が特別委員を務める。

 県庁周辺では現在、NHK富山放送局の旧放送会館の解体工事が進む。県は解体後にNHKから敷地を取得する予定で、会館の跡地利用を含め、県庁や県民会館、県庁前公園など県有地の有効活用を探り、今年度にプロジェクトチーム(PT)を新設して検討している。

 懇話会では、こうした県の取り組みに加え、富山市のまちづくりのグランドデザイン(全体像)との整合性も図り、エリア全体の魅力や価値を向上させ、県都の格を上げる狙いがある。

 富山市の県民会館で開かれた初会合で、オンラインで出席した東大名誉教授で国学院大観光まちづくり学部長の西村幸夫氏は、駅と市役所、県庁、繁華街が歩いて行ける範囲にある都市は、県庁所在地では富山、福井、甲府、静岡しかないと指摘。一方で、富山駅と総曲輪エリアの中間にある県庁周辺で、にぎわいが途切れているとし、仕掛けが必要と強調した。

  ●「問題意識は共有」

 新田知事は「問題意識は共有している。全体のビジョンを踏まえ、県庁周辺の活用を考える必要がある」と述べ、趣旨に賛同した。藤井市長も「富山駅から西町・総曲輪通りまでは、お世辞にも人が歩いてにぎわっている街にはなっていない」と語り、見直しの必要性を強調した。

 懇話会は今年度内に再度会合を開く予定で、県のPTの検討結果などについて情報共有を図る。

会合後に取材に応じる(右から)新田知事、牧田富山経済同友会代表幹事、藤井富山市長=富山市の県民会館

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