「アグリワーケーション」広がる 県など推進、人手不足解消

 農作業と企業研修を組み合わせた「アグリワーケーション」が、県内で広がりを見せている。本年度は県などが取り組みを推進し、県内外から延べ250人超が参加した。生産現場の人手不足解消に加え、交流人口の拡大にも一役買っており、農業関係者は「さらに取り組みを加速させたい」と手応えを感じている。

 アグリワーケーションは県、JA全農山形、JTBによる連携協定に基づく取り組みの一環。企業が社会貢献や社員教育として農作業を行い、対価として賃金を得る。農繁期に人手不足が深刻な現場では、手助けとしての期待も高まっている。

 県や全農山形によると、本年度は先月24日現在、延べ257人が参加し、サクランボやラ・フランスの園地で収穫作業などに従事した。参加企業のうち約9割が県外で、分野は通信関係や航空業界、コンサルティング会社など多岐にわたる。一度限りではなく、継続的に参加した企業も複数あるという。

 全国的にSDGs(持続可能な開発目標)の達成をはじめ、地域貢献や健康経営に重点を置いた取り組みを展開する企業が増えつつある。企業とアグリワーケーションの目的がうまく合致し、参加企業からは「農業現場の厳しさと楽しさを実感できた」「新たな業務につながるヒントが得られた」などと好評だった。

 参加企業を対象とした異業種交流会も企画し、農業を起点に新たなつながりも増えつつある。全農山形の担当者は「想像以上の反響があり、手応えを感じた」とし、「今後も魅力的な施策を考え、農業現場の理解者や山形のファンを増やしたい」と話していた。

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