宮下奈都さんに谷崎由依さんが吐露「夫と毎日ガチバトル」 地元福井市で初対談、作風原点も語る

作風の原点や子育てとの両立などについて対談する宮下奈都さん(右)と谷崎由依さん=11月12日、福井市の福井県立図書館

 福井県福井市出身の作家、宮下奈都さんと谷崎由依さんのトークイベントが11月12日、福井市の福井県立図書館で開かれた。初対談となった2人は、それぞれの作風の原点や家庭・子育てとの両立など、小説家の“素顔”を語り合った。

 福井県ふるさと文学館の「文学フェスタ2023」の一環。宮下さんは長編小説「羊と鋼の森」で16年に本屋大賞、谷崎さんは「鏡のなかのアジア」で18年度芸術選奨新人賞を受賞するなど、文壇で活躍している。谷崎さんの呼びかけで対談が実現し、約160人が聴講した。

 宮下さんが「谷崎さんの普通じゃない発想はどこから生まれるの?」と問いかけると、谷崎さんは母親が小説好きで子どもの頃に読み聞かせをしてもらっていたと披露。「絵本で空想を膨らませていたのと同じように、自分の幻想世界に史実を入れるイメージで書いている」と話した。

 谷崎さんは「宮下さんの小説はいろんな職業の人のせりふや経緯が登場し、この世界で生きていることがすごく伝わってくる」と称賛。宮下さんは「(登場人物の)職業が決まると、小説が動き出す」と語った。

 大学准教授を務めつつ子育てしている谷崎さんは「夫と毎日ガチバトル。土日は子育てを頑張ってくれているけど」と、執筆との両立の大変さも吐露。3人の子育てを経験した宮下さんは「今の切羽詰まった感じは小説に絶対に生きる」とエールを送った。

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