立山町の納屋にクマ親子 市街地厳戒、2頭駆除

クマを見つけた納屋を指し示す福井さん=立山町草野

 21日午後2時25分ごろ、立山町草野の無職福井泰宏さん(71)方で、クマが納屋の中にいるのを福井さんが見つけた。駆け付けた町鳥獣被害対策実施隊員が敷地内を捜索し、間もなく親子2頭を駆除した。けが人はいなかった。出没場所は町役場から近い市街地で一時厳戒態勢が敷かれ、町民から「こんな人が多い場所に現れるなんて」と不安の声が聞かれた。

 町農林課によると、福井さんから「納屋にクマがいる」と110番通報があった。町職員、上市署員、実施隊員ら約20人が現場付近を捜索した。駆除されたクマは体長約1メートルの成獣1頭と約30~40センチの幼獣1頭で親子とみられる。

 現場は交通量の多い県道沿いで、周辺には民家や飲食店が多く立地し、町役場や雄山高が近くにある。上市署が市街地での猟銃発砲を危険と判断したため、実施隊員は電気ショックを与えるやりを2頭に刺して駆除した。

 町農林課によると、納屋周辺は柿の木など草木が生い茂り、クマのふんが多数見つかったことから、長期間潜んでいたとみられる。常願寺川右岸沿いでは10月以降、親子クマの目撃が相次いでおり、町は駆除された2頭と同じ個体とみている。

  ●「ぞっとする」遭遇の福井さん

 「クマがずっと庭におったと思うとぞっとする」。福井さんは声を震わせながらこう語った。

 福井さんは納屋の近くでまき割りをしていたところクマに遭遇した。大きな物音が聞こえたため確認しに行くと、クマが納屋の壊れた壁から顔を出していたという。すぐに自宅の中に避難したといい、「こんな人が多い場所でクマが出るなんて」と目を丸くした。

 近くに住む前田花さん(24)は「クマの出没が多いのは知っていたが、自分の住むところの近くに現れるなんて思っていなかった」と話した。近くの飲食店の男性店主(58)は「とりあえずは駆除されてほっとした。引き続き、警戒しなければ」と気を引き締めた。

 県内で新たに確認されたクマの目撃、痕跡の情報は次の通り。

 ◇19日▽立山町 宮路(不明)ふん

 ◇20日▽富山市 婦中町平等(午後10時10分)クマのようなもの

 ◇21日▽富山市 花崎(午前6時45分)足跡、八尾町諏訪町(同10時)ふん、山田宿坊(柳川)(午後1時半)柿の木に登った跡、上今町(同4時25分)茶色い動物

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