広島県庄原市の若手農家2人が、中国山地の山間に雇用の場を確保しようと農業の新会社を立ち上げました。
標高およそ650メートル。庄原市西城町油木地区の畑です。シートをはがすのは、この秋、発足した農業の会社「FreyA''c(フレイアーク)」のメンバーです。「フレイアーク」とは “豊穣の神が進む” という意味です。
フレイアーク 渡邊諒 代表(30)
「おはようございます。きょうから、サトイモの収穫していきます。じゃあ収穫がんばるぞ」
会社の主力作物サトイモの初収穫です。まず収穫機で株ごと掘り起こし、手で収穫していきます。
フレイアーク 渡邊諒 代表
「例年に比べて、ちょっと雨が少なかったこともあって、小ぶりなんですけど」
フレイアーク 柳原哲吉 代表(37)
「水田の黒ボク(黒土)で作っているサトイモなんで、しっかりと粘りもあって、サトイモらしいサトイモ」
代表2人はいずれも庄原市東城町の農家です。渡邊諒さんは、町の特産品でもある菊の生産者です。柳原哲吉さんはピーマンの生産者です。2人が新会社を設立した目的は雇用の場の確保です。
渡邊諒 さん
「山の農家って時期だけ人を呼んで来てもらう、パートさんに来てもらうみたいな経営が主流なんですけど、やっぱり年間通して働きたいっていう方へ向けて農業というのをアピールしたい」
柳原哲吉 さん
「人員も固まらないと規模も拡大できないし、規模拡大しないと新しいこともチャレンジすることもできないんで」
従業員は4人…。このうち3人は季節雇用のアルバイトでした。菊やピーマンの仕事は春と夏が中心で、秋と冬に仕事がなかったからです。
山根豪 さん(24)
「(冬は)土木関係のところにアルバイトに行ったり、出稼ぎで出たりしていたので、ずっと同じ場所でできるんで楽ですね」
竹内佑輝子 さん(31)
「冬は土木行ったり、あと美容室に行ったりしていました。農業が好きなのでうれしいです」
山根さんと増田さんは正社員になりました。
増田健太 さん(30)
「まだ実感全くないんで、とりあえず会社として安定させていくことが第1目標です」
サトイモは広島や福山市内のスーパーで販売されます。豊穣の神が進む「フレイアーク」。雇用の場を確保しながら地域の情報発信にも取り組むことにしています。