上下のまぶた、ずっと赤く腫れている…60歳以上に多い「眼瞼炎」の改善・治療法、他の原因は

 5年ほど前から、両眼のまぶたの上下が赤く腫れています。特に下の方がひどいです。痛みやかゆみはなく、見え方にも問題はないです。考えられる原因は何でしょうか? 治す方法はあるのでしょうか。(80代女性)

【お答えします】許沢尚弘・福井赤十字病院眼科医師

眼瞼縁炎や眼瞼皮膚炎かも…有効な対処法は?

 症状をお聞きして一番に思い浮かぶのは「眼瞼(がんけん)炎」という病気です。眼瞼(まぶた)周囲の充血、浮腫(腫れ)、熱感を伴う炎症です。症状を伴うことが多いですが、見た目の異常を訴えて来院されることも多いです。60歳以上で頻度が上昇してきます。慢性疾患であることが多く、経過が長期にわたったり、寛解と再燃を繰り返すことがあります。

 病巣(今回なら赤く腫れている部分)がまぶたのまつげや眼球に近い部分(眼瞼縁)にある「眼瞼縁炎」、病巣が皮膚にある「眼瞼皮膚炎」に大きく分かれます。

 眼瞼縁炎は、まつげの生え際にかゆみが出たり、赤くただれたり、発疹が出たり、かさぶた(痂皮(かひ))ができたりします。点眼が治療の主体となることが多いです。感染か炎症かによって抗菌薬の治療か、抗炎症の治療、場合によってはそれらの併用が治療となります。

 薬以外でできることとして、ホットタオルなどでまぶたを温めてまぶたの血流改善を目指す方法や、まつげ用のシャンプーなどでまつげや目もとを洗って炎症を抑え、まつげ周りの雑菌、ダニの繁殖を防ぐ方法が有効なこともあります。

 眼瞼皮膚炎では、目の周りの皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりします。治療は軟こう主体(抗菌薬、抗炎症薬の軟こう塗布など)、もしくは内服薬併用のアトピーやアレルギーに対する治療となります。

 アトピー性に対しては、皮膚科の医師がよく使う新しい薬も出てきたりしています。薬以外でできることとして、洗顔や入浴後にワセリンなどの保湿剤を皮膚に塗り、水分の蒸散を軽減させるといい場合があります。

ほかに考えられる病気は?原因さまざま

 他に思いつく病気としては、慢性的な皮下組織のむくみである慢性血管性浮腫、腎機能低下が原因で塩分と水分が体に残ってできるまぶたのむくみ、甲状腺機能異常に伴い眼球が突出してまぶたが腫れているように見える甲状腺眼症、全身の皮膚の赤みにまぶたの赤みを伴う皮膚筋炎、まぶたの腫瘍におされて腫れてきたなど、原因はさまざま考えられます。

 昨年11月3日付のドクター相談室にも似た相談と答えがありますので良ければ参考になさってください。原因を特定し、それぞれに合った治療を選択することで改善することもあります。専門的な眼科医、場合によっては皮膚科医を受診したりして、検査・診断を受けることをお勧めします。

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