“殿と忠臣”の会食、時超え実現 徳川家康と鳥居元忠の子孫ら 「壬生お殿様料理」を堪能

お殿様料理を食べ歓談する徳川さん(右)と鳥居さん

 壬生鳥居(とりい)家の家祖で徳川家康(とくがわいえやす)に忠義を通したことで知られる鳥居元忠(もとただ)の子孫、鳥居家16代当主鳥居忠明(ただあきら)さん(74)と家康の子孫、徳川宗家19代当主徳川家広(いえひろ)さん(58)らが23日、栃木県壬生町壬生丁の「日本料理篠(しの)」で町の新名物「壬生お殿様料理」を堪能した。時を超えた会食に“殿と忠臣”は満足げだった。

 お殿様料理は約200年前の鳥居家4代目藩主の「御献立帳」を基に、地元食材を使って復元した町のプロジェクト。町が認定した料理をメニューとして提供する店は、町内に6店ある。

 鳥居さんと徳川さんは同日、町城址公園ホールで行われたシンポジウム「家康への熱き忠義心」に登壇するため来町した。訪問に先立ち、町が「お殿様料理を食べませんか」と提案したところ快諾され、“殿と忠臣”の会食となった。

 この日のメニューは1805年7月23日の朝の献立。「のっぺい」や「ふわふわ豆腐・胡椒(こしょう)」「赤こんにゃく」「さびかん」など一の膳から三の膳まで20品を超える料理が出された。小菅一弥(こすげかずや)町長らも同席し、料理を味わった。先祖の忠臣の子孫と膳を共にした徳川さんは「壬生は日光社参の際に利用する将軍家にとって大切な街。料理はとても上品です」。鳥居さんも「味付けも良くとてもおいしい」と話していた。

 鳥居忠吉(ただよし)・元忠父子は徳川家3代にわたり忠臣として仕え「家康一筋の忠義者」といわれた。本丸1丁目の町歴史民俗資料館は企画展「家康と元忠-伏見に散った忠誠心」を12月17日まで開いている。

23日に提供された「壬生お殿様料理」二の膳

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