足利学校で伝統の釋奠 孔子と弟子たたえる

足利学校で執り行われた釋奠

 【足利】儒教の開祖・孔子(こうし)とその弟子たちをまつる市指定民俗文化財の伝統儀式「釋奠(せきてん)」が23日、昌平町の史跡足利学校大成殿で行われた。

 釋奠は「供えてまつる」という意味で、中国・後漢時代に孔子らをまつる行事を指すようになった。学校の釋奠は、室町時代には行われていたとの記録がある。1907年にほぼ現行の形式となった。戦時中に1度中断したため、今回で116回目を数える。

 儀式で祭官を務めたのは、市民らでつくる史跡足利学校釋奠保存委員会の笠原健一(かさはらけんいち)会長ら15人。早川尚秀(はやかわなおひで)市長ら6人の立会人を前に、米、タイ、野菜、牛肉などを祭壇に供えた。閉式後は参列者と共に、論語の素読を行った。

 進行をつかさどる祭官「掌事(しょうじ)」を務めた笠原会長は「初めてで緊張した。釋奠は孔子様の教えを心の中に抱きながら生きているということを再認識する場です」と話した。

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