「正月は自宅で」4世帯の避難指示解除 鶴岡・西目の土砂崩れ

 鶴岡市西目で高齢夫婦2人が犠牲となった昨年末の土砂崩れで、鶴岡市は28日、安全対策が進んだとして、現場周辺の4世帯13人への避難指示を解除した。発生から1年を前に避難生活が終わることになり、避難者の一人は「正月は自宅で迎えられる」と安堵(あんど)した。一方で土砂搬出など対策工事は継続しており、地域内の市道と県道の交通規制解除の見通しは立っていない。

 避難指示は、市役所で開かれた県なども入る市災害対策本部会議での協議を経て、午後5時に解除した。県が進めてきた避難者住宅の上部の土砂を削り取る作業が終了したほか、地滑り観測機器や警報装置の運用が同日に開始されたことを判断の理由とした。

 市営住宅に身を寄せる50代の男性は、避難指示解除に「年内に帰ることができて県や市、業者の方に感謝したい」と喜ぶ。これまではいつ帰れるかと落ち着かず、不安の日々だった。自宅に戻った後は「まずは掃除をしてゆっくりと正月を迎えたい」と話した。

 一方、県と市は現場周辺の交通規制の解除時期は未定としており、災害前の日常に戻るにはもう少し先になる。地元の金山自治会の安倍長一会長(68)は、年をまたがずの避難指示解除を評価しつつ「道路の通行止めも早期に解除してほしい」と期待した。

 市の調査では避難4世帯のうち、早い世帯は12月中旬に帰宅する意向を示している。対策本部会議後、皆川治市長は報道陣の取材に「帰宅がスムーズにいくよう支援するとともに、交通規制の解除の見通しもしっかりと付けていきたい」と話した。

 土砂崩れは昨年12月31日未明に発生し、住宅など31棟が倒壊した。男女4人が土砂に流され、このうち2人は倒壊した建物内から救助されたが、高齢夫婦は土砂の中から見つかった。

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