宝塚歌劇、年内の公演終了 9月末の宙組団員急死後、公演中止相次ぐ 110周年へ混乱出口見えず

宝塚歌劇団の会見を前に、大劇場前に集まった報道陣ら=14日午後、宝塚市栄町1(撮影・長嶺麻子)

 宝塚歌劇団雪組と同花組の公演が13日、いずれも千秋楽を迎え、年内の歌劇団公演がすべて終了した。9月末に宙組所属の俳優女性(25)の急死後は公演中止が相次ぎ、最後の3カ月間の宝塚大劇場公演は当初予定の15%しか上演できなかった。歌劇団や阪急電鉄と遺族の間では交渉が続いており、混乱の出口は見えないまま歌劇110周年の年明けを迎えそうだ。

 女性は自殺の可能性が高いとみられる状況で見つかった。遺族側代理人弁護士は、過重労働と上級生によるパワハラが急死の原因と主張。歌劇団や上級生、運営する阪急電鉄に謝罪と補償を求めている。

 歌劇団は団員への聞き取り調査を実施し、長時間の活動による心理的負荷を認めつつも、いじめやパワハラは「確認できなかった」とした。12月下旬に二度目となる遺族側と歌劇団側の代理人による面談が行われる予定だ。

 宝塚大劇場公演は団員急死発覚の翌日10月1日から中止期間の延長を繰り返し、2カ月間公演が止まった。新トップコンビ、芹香斗亜(せりか・とあ)、春乃(はるの)さくらの本拠地お披露目だった宙組公演は2日間3公演のみの上演で、以降は東京公演も含め全てなくなった。

 続く雪組は3週間遅れの12月1日に開幕したものの、出演者の体調不良などにより公演当日の急な中止が2日続いた。千秋楽前日に再開したが、最終的に実施されたのは47公演中12公演だった。

 また1日には歌劇団の木場健之(こば・けんし)理事長と、宝塚音楽学校の角和夫理事長が退任し、いずれも新理事長に村上浩爾氏が就任。劇場内の稽古場に酒類を持ち込んだとされる演出家の藤井大介さんも同日、歌劇団理事を退任したが、歌劇団は退任理由を明らかにしていない。

 前代未聞の事態が、宝塚に関わる人々の気持ちを揺さぶり続けた3カ月間。歌劇団にこの期間を振り返るコメントを求めたところ、「今の段階では控えさせていただきたい」と回答。理由として、いまは遺族への対応に真摯(しんし)に取り組み、話し合いを優先していること、組織風度改革に向けても外部有識者の意見を入れながら検討を進めたいと考えていることを挙げた。

 年明けは1月1日から宝塚大劇場で、星組公演を予定している。(小尾絵生)

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