世界文化遺産・国宝姫路城(兵庫県姫路市本町)の2023年度の外国人入城者数が、過去最多ペースで推移している。これまで最多だった19年度の39万5千人を抜き、初の40万人台となるのは確実。欧米からの観光客が多く、昨秋に新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、歴史的な円安も追い風になったとみられる。
姫路城は11日に世界遺産登録30年を迎えた。姫路市によると、この30年間の入城者数は約3千万人。コロナ禍の影響で20~22年度は伸び悩んだが、23年度は11月下旬、4年ぶりに100万人を突破した。
外国人入城者数については、英語や韓国語、中国語、フランス語の外国語パンフレットの配布数から算出している。
市によると、姫路城が世界遺産に登録された1990年代は2万~5万人台で推移。2005年度に初めて10万人を超え、「平成の大修理」を終えた直後の15年度に30万人を突破した。
コロナ禍の20、21年度は7千人台まで落ち込んだが、昨年10月に水際対策が緩和されて以降は回復。23年度は11月末時点で32万2千人に達した。
以前はアジアの観光客が多かったが、近年は欧米からの来城者が増えている。姫路城外国語ガイド協会によると、23年度上半期に応対した1571件のうち米国のグループが346件で最多。ドイツとオーストラリアが118件で、フランス109件、イタリアが83件と続き、約6割を欧米からの観光客が占めた。
同協会の瀬尾貴政会長(70)は「姫路城のような木造建築は欧州の石造りの城とは違い、欧米人の目に新鮮に映る。円安で食事やホテル代が安く済むことも魅力のようだ」と分析する。
11日にスペインから家族3人で訪れたマリア・マルティネス・ゴンザレスさん(31)は「ずっと日本に来たかった。コロナ明けの初の海外旅行で、白く、美しい城を見られてうれしい」と感動した様子だった。(井上 駿)