eスポーツ部が始動、ゲームで自主性レベルアップ期待 兵庫・丹波の氷上西高、市が資金援助

専用のパソコンでゲームに打ち込む氷上西高校のeスポーツ部員たち=同校

 氷上西高校(兵庫県丹波市青垣町佐治)で、コンピューターゲームに取り組む部活動「eスポーツ部」が本格的に始動した。高性能パソコンを使い、部員たちがシューティングゲームのオンライン対戦などに打ち込む。学校側は、楽しみながらコミュニケーション能力や自主性を培えると期待しており、地域の子どもや住民との交流も図る方針だ。(那谷享平)

■1年生7人で活動

 ゲームの腕前を競う「eスポーツ」の普及を受け、丹波市教育委員会は昨年、同校の魅力向上の一手として創部を提案。市が2023年度予算に300万円を計上し、資金面の援助をして実現した。

 パソコンやデスクといった機材とインターネット環境が整った後、12月上旬に1年生7人で活動を始めた。部室にゲーム用の高性能タイプを含むパソコン10台を配備。人気の対戦シューティングゲーム「フォートナイト」や「エーペックスレジェンズ」を遊べる。

 活動は月、火、木、金曜日の午後4時~5時半。高校生向けの大会出場などを目指し、和気あいあいとした雰囲気で腕を磨く。大会時などに使うチーム名は、ドイツ語で勝利を意味する「Sieg(ジーク)」にした。

■部活のために勉強も頑張る

 顧問の神崎悠哉教諭(39)は「仲間とコミュニケーションを取り、一緒に努力しないと勝てないのは運動部と一緒。ゲームには身体能力の差が出にくく、オンラインで全国の人とプレーできる魅力もある」と説明。自主性を重んじ、「生徒たち自身で楽しい部活に発展させていけるようにしたい」と強調する。

 実際、活動日や部室のレイアウトなどは、生徒たちが話し合って決めた。部のルールも同様。部室内で食事は禁止で、1日の活動を終える際は、全員で掃除する。技術ややる気を高めるため、月1回は部内で大会を開くことにしている。

 部長の金井悠真さん(16)は「家にいて1人でするのとは全然違う楽しさがある。友達とチームを組み、大会に出るのが楽しみ。部活のために勉強も頑張ろうと思う」。副部長の山下鼓羅尊(こらそん)さん(16)は「助け合いながら切磋琢磨(せっさたくま)する部活にしたい」と語った。

■地域とのふれあいも重視

 同部は地域とのふれあいも重視。部室にはより幅広い世代が楽しめる家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」もある。同校や地元住民などで「魅力化推進協議会」を設置しており、今後、交流行事などの企画を模索していく。

 同協議会の事務局を務める地元団体「佐治倶楽部」の出町慎さん(41)は「ゲームは一人でやるイメージがあったが、楽しそうな部員たちを見る限り、非常に面白い交流のツール。この部活に地域がどう関わっていくか。新しい視点で考えていきたい」と話した。

 県スポーツ振興課によると、県内の公立高校でほかに姫路商業(姫路市)や長田商業(神戸市)などが部活動にしている。

© 株式会社神戸新聞社