富山にほれ移住、開業 高岡に和食店「魅力広めたい」 東京から古橋さん夫妻

開店の準備を進める古橋さん(左)と妻のみゆきさん=高岡市御旅屋町

  ●食材、酒、食器も「オール富山」で

 高岡市御旅屋町に、東京都から移住した料理人の古橋岳介さん(44)と妻みゆきさん(39)が創作和食店「酒膳 とみかな」を開業した。元々富山に縁がなかった2人だが、富山の景色や食材にほれ込み、東京の店を畳んで高岡に移り住んだ。2人は「食を通して、自分たちが好きになった富山の魅力を広めたい」と意欲を見せている。

 古橋さんは静岡県出身で、東京都出身のみゆきさんと結婚し、2016年から都内で和食店を営んでいた。

 東京で仲良くなった富山県在住の友人の誘いを受けて年に数回程度、富山を訪れるようになった。車窓から初めてくっきりと見えた立山連峰の美しさに心を奪われ、高い山と深い富山湾の高低差の中に生まれる食材の豊かさも次第に知るようになり、来県する度に富山にほれ込んでいった。

 移住を考えるほどに大好きになり、それでも東京の店があるため、一歩を踏み出せなかったが、昨年夏に友人から空き店舗の紹介を受けて決断。2人は今年6月に高岡市へ引っ越し、店舗の改修など準備を進めて、11月25日に念願の店をオープンさせた。

 店名「とみかな」は、富山の「富」、食材豊富の「富」と、「奏でる」の意味を込めた。「富山を推す」をテーマに、県産の食材をふんだんに使ったコース料理や地元の酒を提供、越中三助焼や高岡漆器など食器も地元にこだわった「オール富山」の店を実現させた。

 古橋さんは東京時代、北陸の話題と言えば大半が金沢だったとし「富山も素晴らしいということを伝えたい」と意気込む。みゆきさんは「自然の豊さなど暮らしてみて分かる良さがある。移住の魅力も発信していきたい」と話した。

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