宇奈月温泉一体で改装 5旅館4観光施設 客室に露天風呂、和洋室化

旅館や観光施設が一体となって一気に改修を進める温泉街=黒部市宇奈月温泉

  ●キャニオンルート開放、新幹線延伸控え
  ●国事業に採択、県と黒部市も支援

 黒部市宇奈月温泉の5旅館、4観光施設が来年度にかけて一体となった改装に着手する。来年の黒部宇奈月キャニオンルート一般開放や北陸新幹線延伸を見据え、各旅館は客室での露天風呂整備や和洋室化などで高付加価値対応を図る。土産物・飲食店は気軽に立ち寄れる環境を整えて観光客の周遊性向上につなげ、黒部峡谷の自然美に彩られた湯のまちの魅力を一気に高める。

 観光庁の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」に採択され、県、黒部市も支援して観光施設は年度内、宿泊施設は来年度に改修が行われる見通しだ。事業費は9億2千万円を見込んでいる。

 計画によると、高付加価値化を図る旅館・ホテルは延楽、延対寺荘、サン柳亭、桃源、フィール宇奈月。露天風呂付き客室への改修やベッド導入、食事どころの個室化などを進める。延楽は露天風呂付きでベッドも備えた高価格帯の和洋室が現在3室あり、さらに2室増やし、外壁の塗装改修も行う。

 来年6月に始まるキャニオンルートツアーの1泊2日コース代金は1人13万円程度と想定されており、延対寺荘は「インバウンド(訪日客)、高級路線対応を見据え、時代に合った満足度の高い客室にしたい」(延対寺駿支配人)と改修計画を精査している。

 宇奈月温泉旅館協同組合理事長の濱田政利延楽社長は観光庁の事業採択が2021、22年度に続いて3度目となることから温泉街全体の環境が整うとした上で、「キャニオンルートはトンネルが中心で、ツアー前後泊の宿の質が一層問われる。それぞれの宿が個性を生かして質を高め、宇奈月を盛り上げていきたい」と話した。

 土産物・飲食店は看板や店内照明、空調設備改修を行う。廃屋5件も撤去し、イベントスペースや駐車場に活用する。

  ●ソフト事業実験も採択

 地域活性化につながるソフト事業実証実験も併せて採択され、冬のトロッコ電車特別運行に取り組む黒部峡谷鉄道が今冬のインバウンド向けプレミアムツアー実施を検討している。

 雪の降らない地域の海外客らに宇奈月温泉スキー場でのアクティビティーや、ますずし作り体験などを楽しんでもらう企画を組み合わせるなどの内容を考えている。

 「おふろっく」と銘打った音楽イベントやセレネ美術館での「クローン文化財」特別展開催などの準備も進められている。

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