自転車の一時不停止違反、1年で摘発4倍に 高い事故リスク、多発の尼崎で集中取り締まり

自転車利用者を呼び止め、指導警告書を交付する警察官たち=2023年12月中旬、尼崎市潮江

 兵庫県内で2023年1~9月、自転車利用者による一時不停止違反の摘発件数が22年同期比で4倍の1512件に上ったことが、県警への取材で分かった。違反に起因する人身事故が多発している阪神間で取り締まりを強化したため。警察庁は自転車での交通違反に対しても車やバイクと同様に交通反則切符(青切符)を交付できるように道交法の改正を検討しており、県警も街頭啓発との両面でルールの周知を進める。

 県警交通指導課によると、自転車の摘発件数全体が22年同期比32件減の3473件にとどまる一方、一時不停止違反の摘発件数は22年の369件から1143件増加した。違反の種別では信号無視(1558件)に次ぎ2番目に多い。

 急増の背景には、一時不停止が原因で起きた人身事故が突出している現状がある。自転車が最も過失の多い「第1当事者」になった事故1031件のうち2割超に当たる249件あり、「信号無視」(73件)や「横断・転回違反」(107件)などほかの違反を大きく上回っている。

 自治体別の摘発件数は尼崎市の964件が最多で、他では神戸や東播、西播地域に集中した。尼崎市では自転車が第1当事者の人身事故のうち一時不停止が原因の割合が県平均(24.2%)を超える30.6%を占めており、市内の警察署では重点的に取り締まりを行っている。

 12月中旬にはJR尼崎駅近くの交差点に制服姿の尼崎東署員が立ち、自転車での違反者に指導警告票を交付するなどしてルールの順守を呼びかけた。同署の青山真悟交通課長は「『自転車だから大丈夫』という軽い気持ちが悲惨な事故につながっている。未然に防ぐために悪質な運転には目を光らせたい」と話していた。 (井上太郎)

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