「怖くてすぐに行動できなかった」「2回ほど津波打ち寄せた」帰省中の人も高台や学校へ 兵庫県北部に「津波警報」

日本海に面し、津波警報が出た兵庫県北部の豊岡市竹野町で、高台の宿泊施設へと避難する地域住民らの車=1日午後、豊岡市竹野町竹野(住民提供)

 石川県・能登地方で1日に発生した最大震度7の地震。兵庫県でも豊岡市で震度4が観測され、日本海に面する県北部に津波警報が発令された。豊岡市消防本部によると、避難中に転倒した豊岡市の80代女性が足にけがを負い、骨折の疑い。元日で帰省や観光で滞在する人が多い中、住民は高台などに自主避難した。豊岡市、香美町、新温泉町は災害対策本部などを設置し、情報を収集している。

 但馬地域には、午後4時22分に津波警報が発令された。豊岡では午後7時20分に最大40センチの津波が観測された。大阪管区気象台によると、但馬地域で津波警報が発令されたのは、津波に関する現在の情報区分となった1999年以来で初めてという。

 豊岡市の城崎温泉街は観光客でにぎわう中、地震の揺れがあり、外湯は閉鎖した。JR山陰線は午後7時の時点で、日本海沿岸を路線とする豊岡-東浜間で運転を見合わせている。

 豊岡市では、同日午後8時の時点で、竹野小学校や中学校に約20人が避難。新温泉町は14カ所の建物に226人と計73台の車での避難を確認した。香美町は午後8時時点で5カ所に82人が避難している。

 香美町は日本海沿岸部に、新温泉町は町内全域に、避難指示を出しており、両町とも災害対策本部を立ち上げた。いずれも被害情報は入っていない。

 豊岡市竹野町の高台にある宿泊施設「休暇村 竹野海岸」にも住民が避難した。正月で帰省した親戚たち10人以上と車で避難した同町在住の男性(69)は、「家が川の近くだから、すぐに避難した。海と川をじっと見ておくしかない」と話す。100人以上が身を寄せているという。

 男性によると、午後5時40分ごろ、2回ほど津波が打ち寄せたという。豊岡市竹野町の船着き場で水位が引いた後、水位が上昇。岸壁は最高で高さ1メートル50センチほどの場所がぬれ、水が上下していたように見えた。「40年前の日本海中部地震のときには、水が引いて川の底が見えていたが、今回は見えていない状態。ただ水がかき混ぜられて泥くさいにおいがしている」と話す。

 同市田結の70代女性は、警報発令を受けて一時、屋外の高台に避難。30人近くが逃げてきており、帰省中らしい見慣れない顔や高齢者らもいた。女性は「津波警報は初めて。津波よりも揺れに驚き、怖くてすぐには行動できなかったが、地域の人たちの声かけもあって避難した」と話す。(丸山桃奈、阿部江利)

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