農業バイト、アプリ浸透 県内、本年度雇用1万3000人

農業のアルバイト募集アプリの画面。県内で求人・求職の利用が増えている

 県などが2021年度からPRするアルバイト募集アプリによるマッチングが、県内の農業現場で広がっている。23年度の雇用成立人数は昨年12月22日時点で1万2693人と、22年度全体の2倍近くに上る。1日単位で募集や応募ができる利便性の高さが要因とみられ、会社員や若い世代を含む多様な年代、職業層に浸透している。

 「急な募集でも人手を確保でき、ありがたい」。山形市で葉ボタンの苗などを生産する「のりか園芸」の担当者は便利さを実感している。以前は繁忙期の4月と11月に人手が足りず、知人のつてが頼りだった。アプリを通じた相手側の「ドタキャン」もあるが「のみ込みの早い若者を集められる」とし、宮城など隣県からも働きに来るという。

 アプリは神奈川県の民間企業が開発した「daywork(デイワーク)」。生産者と働き手が登録し、作業内容や日給といった条件を基に契約を結ぶ。利用は無料。本県では県農業労働力確保対策実施協議会が21年度から利用を推進し、その後、アプリ操作方法などを記したガイドブック約5千部を作り、生産者側への説明に活用している。

 雇用成立数は21年度が3181人、22年度が6685人。23年度は1万3千人を超える見込みだ。登録数も年々増え、23年度は働き手が2890人。40歳未満が半数を占め、職業別では正社員を含む会社員が3割に上り、パート・アルバイト、学生、専業主婦・主夫などと続く。

 生産者はサクランボなど果樹や花卉(かき)を中心に533人が登録する。ただ、実際に求人を出したのは243人で、同協議会は一層の周知を目指す。併せて、ミスマッチを減らそうと、農作業のイメージ動画をアプリに掲載する仕組みを検討している。

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