避難所の学校で授業再開 校舎に響く「頑張ろう」 珠洲市直小

学校が再開し、体育館で避難住民にあいさつする児童=11日午前9時40分、珠洲市直小

 能登半島地震で甚大な被害を受けた珠洲市直(ただ)小、みさき小、三崎中の3校で11日、2日遅れで3学期の始業式が行われた。奥能登2市2町で学校が再開するのは初めて。直小では、児童が友だちや先生と無事に再会できたことを喜び合い、「皆さん、頑張りましょう」と避難所暮らしの住民にあいさつ。不安を抱える中、支え合いの3学期がスタートした。

 体育館が避難所として使われているため、始業式は音楽室で行われた。「よく頑張った。みんな頑張ろう」。道端専次校長(58)が目に涙をためながら子どもたちを迎えた。地震後、市外に避難した子ども少なくない。直小では児童68人のうち、30人が登校した。

 始業式の後、児童は約150人が避難生活を送る体育館に移動した。6年の杉野萌々華さん(12)は避難住民に「きょうから学校生活が少しずつ始まっていきます。私たちも頑張ります。皆さんも頑張りましょう」と挨拶した。児童全員が「頑張りましょう」と声を合わせると、毛布にくるまったお年寄りらが「ありがとう」と拍手を送った。

 運営スタッフの野々江本江寺区長、久田明さん(67)=珠洲市野々江町=は「子どもたちの元気な声と姿に私たちもパワーをもらいたい」と顔をほころばせた。

 校舎は断水が続くが、停電は解消した。児童は当面、午前中に教室スペースを使って授業を受ける。この日は書き初めが行われ、児童は筆を振るい「新しい風」「明るい心」「友だち」などとしたためた。

 自宅から母親に手を引かれて登校した2年の鷺(さぎ)茉莉(まつり)さん(8)は「友だちに会えるのが楽しみだった」と話した。母の望美さん(31)は「自宅にずっといるよりは、普段のように学校で友だちと一緒に勉強したり、遊んだりした方が元気が出る」と学校再開を歓迎した。

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