中村メイコさんの死因「肺塞栓症」…サインは急な息切れ 通称エコノミークラス症候群、車中泊でも注意

肺塞栓症とは
肺塞栓症について解説する高田睦子医師=福井県福井市の福井循環器病院

 ラジオやテレビの草創期から活躍した俳優の中村メイコさんの命を奪った「肺塞栓症」。血の塊(血栓)が心臓から肺に血液を送る肺動脈に詰まる病気だ。いわゆるエコノミークラス症候群で、災害時の避難所や車中泊でも注意が必要だ。福井循環器病院(福井県福井市)の高田睦子・循環器内科部長は「最悪の場合命に関わる怖い病気ではあるが、早く適切に診断、治療を受ければ回復する」と話す。

 血栓は「スライムのように軟らかい」と高田医師。肺塞栓症を起こす血栓のほとんどが血流の滞った下肢の静脈ででき、何らかのきっかけで血栓が血流に乗り、心臓を経由して肺動脈に運ばれ、詰まることで発症する。最悪の場合、ショック状態となって心肺停止にいたることもあるという。脚の深部静脈の血流が滞って血栓ができると深部静脈血栓症と呼ばれる。肺塞栓症と深部静脈血栓症を総称して静脈血栓塞栓症という。

 血栓ができる原因は、乗り物による長距離移動で動かないことや、脱水、がん、手術、出産、遺伝で血が固まりやすい体質など、さまざまな要因が考えられているという。主な症状は息切れや胸痛。「息を吸っても吸えていない感じ」(高田医師)といい、急に息切れするようになったら肺塞栓症を疑ってみる。

 主な治療は血栓を溶かす抗凝固療法。3カ月間を目安に薬を毎日飲む。状態が落ち着いている場合は、外来治療でいいという。

 予防法は、血栓ができないようにすること。時々歩いたり、足首を曲げ伸ばししたりしてみる。歩くと脚の筋肉が血液を押し上げるポンプの役割を果たし、血流が滞ることを防ぐ。こまめに水分を補給することも重要だ。また、下肢の静脈に血栓ができ、静脈がふさがると、下肢が腫れたり、痛みが出たりするなどの症状が現れる。

 肺塞栓症を防ぐためにも、高田医師は「症状がある場合は早く受診してほしい」と呼びかけていた。

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