裏金事件、1019万円記載漏れの高木毅氏に“証拠”求む…支出証明する領収書「再発行が適切」

高木氏が代表を務める「21世紀政策研究会」への還流分を寄付として追加した過去3年分の安倍派の政治資金収支報告書。上から2020年分に420万円、21年分に335万円、22年分に110万円の寄付が記載された

 自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件を巡り、還流を受けた福井県選出国会議員のうち、自身の資金管理団体の収支報告書への記載が漏れていた1019万円全額を政治活動費に充てたとする高木毅前国対委員長(衆院福井2区)。収支報告書を訂正する考えを示すものの、支出を証明する領収書などは残っていないとしている。福井県選管は訂正に際し「領収書を再発行してもらうなどの対応を取るのが適切」との認識で、識者も「客観的な証拠を示し、支出を証明すべきだ」と領収書の添付などを求める。

 高木氏は1月27日に福井県敦賀市内で開いた記者会見で、2018~22年の5年間に安倍派から還流を受けた1019万円の使い道を問われ、同僚や後輩議員、マスコミ、有識者との意見交換会の飲食費、会場費、交通費などの政治活動に全額使ったと説明した。還流分は、自身が代表を務め、県選管に届け出ている資金管理団体「21世紀政策研究会」の収支報告書への記載が漏れているとしており、近く訂正する考え。安倍派は既に訂正し、高木氏らへの還流分を寄付として報告書に追加した。

 「21世紀」は国会議員関係政治団体に該当し、政治資金規正法で透明性確保のため、人件費以外は1件当たり1万円超の支出について目的や支出先の名称などの明細を記載、領収書の写しを添付するよう義務付けられている。さらに1円以上の支出は、領収書を収支報告書の要旨公表から3年間全て保管し、開示請求があった際は公開しなくてはならない。

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 県選管によると、領収書を取得しにくい銀行引き落としなどのケースは支出の明細書を作成し、領収書代わりにする。しかし、高木氏の説明のようにいったん発行されたものが現存しないケースでは県選管は「本来は添付、保管するものであり、再発行などをすべきだろう」との認識を示す。

 裏金事件が明るみに出るきっかけとなった告発をした神戸学院大法学部の上脇博之教授(65)は、領収書がないことに「訂正が本当かどうか担保するものが全くない」と私的流用への疑念が拭えないと指摘。私的な用途に使っていれば個人の「雑所得」と見なされ、課税対象となり得る。

 上脇教授は、訂正に当たって「領収書を再発行してもらうほか、クレジットカード(で立て替え)払いしたなら、その明細を添付すべきだ。説明責任を果たさないといけない」とくぎを刺した。

裏金問題を受けて高木毅氏が開いた記者会見

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