復活した京の伝統野菜「佐波賀だいこん」 煮物や大根おろし向き、出荷スタート

佐波賀だいこんを引き抜いて収穫する佐藤さん(舞鶴市佐波賀)

 京都府舞鶴市発祥の京の伝統野菜「佐波賀だいこん」の出荷が始まった。同市内の畑では、生産者が大きく育った大根を一本一本丁寧に引き抜き、箱詰めする作業を進めている。

 佐波賀だいこんは水分が少なく繊維が詰まっていて、煮物や大根おろしに向く。一般的な大根の約2倍の枚数がある肉厚な葉も特徴とされる。

 舞鶴市内では1950年代末まで広く生産されていたが、次第に青首大根に押されて生産が途絶えた。2010年から地元農家などが復活させ、現在では5人の農家が計27.5アールで生産。今年は3月末までに約2800本の出荷を予定しているという。

 同市佐波賀にある佐藤正之さん(60)の畑では1月18日、佐藤さんらがタンポポのように地表に広がった葉を持ち、太く白い大根を次々と抜いて収穫。水で洗浄した後、箱詰めしていった。

 佐藤さんは「今シーズンは暖冬で実の詰まりに少し影響したが、昔ながらのおいしい大根。ぜひ食べてほしい」と話した。

 舞鶴市内にあるJA京都にのくにの直売所「彩菜館」2店舗に並ぶほか、京都市内の大手スーパーイオン5店舗でも販売される。

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