中学校の運動部活の未来は?「過剰に肥大化」「地域任せは本末転倒」 教育者やプロ野球選手ら議論

シンポジウムで中学の部活動について語り合う(右から)宇津木選手、平野選手、高岡監督、大村監督、コーディネーターの森脇さん=1月18日、京都市中京区

 中学校の運動部活動を考える「第40回日本中学校体育連盟(中体連)研究大会」が1月18、19日に京都市内のホテルで開かれた。京都での開催は初めてで、全国の教育関係者ら約400人が参加した。少子化や教員の働き方改革を受け、スポーツ庁は公立中学の部活動を地域団体に委ねる「地域移行」を推進している。部活動の未来はどうあるべきか。2日間の議論をたどった。

     ◇

 18日は講演やシンポジウムが行われた。基調講演では早大の中澤篤史教授(44)=スポーツ社会学=が登壇。部活動が教員の超過勤務などにつながっている現状を踏まえ、「日本の部活動は国際的に見て特異なほど大規模化し、歴史的に見て過剰に肥大化した。持続可能性が危うい」と警鐘を鳴らした。講演後の質疑では出席者から「部活動は生活指導、子どもの居場所や仲間づくりなど教育的内容がある。地域に任せるのは本末転倒では」という声も上がった。

 シンポジウムでは、北嵯峨高女子バレーボール部の大村加奈子監督(47)=滋野中出身、プロ野球オリックスの平野佳寿選手(39)=北宇治中出身、花王陸上部の高岡寿成監督(53)=山城中出身、パラ競泳の宇津木美都選手(21)=洛北中出身=が出席。洛南高陸上部出身でタレントの森脇健児さん(56)がコーディネーターを務めた。

 大村監督は「弱くても1回戦突破や10点取ることを目標にして、達成できればうれしくなる。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)する楽しさを覚えられる」と部活の魅力を語る。平野選手も「もうすぐ40歳なのに野球を続けられるのは楽しいから。それを教えてくれたのが中学の部活だった」と話した。

 宇津木選手は中学から本格的に水泳を始め、パラリンピアンに飛躍。健常者の仲間と過ごした部活動で「人とのつながりの大切さを学べた。世界が広がった」と感謝する。高岡監督は「中学で専門的な知識を教わり、陸上を続けるきっかけになった」と振り返った。

 大阪府枚方市出身の森脇さんは「中学校で陸上部の監督に出会わなかったら、ここにいないし、芸能界にも入っていなかった。努力したら成功はしないかもしれないけど、成長はすると教えてもらった」と語り、シンポジウムを締めくくった。

© 株式会社京都新聞社