前ECB総裁、政府と中銀の協調訴え 「政策余地の確保に必要」

[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁は15日、各国中銀が政府に対し、グリーン化やサプライチェーン(供給網)強化に投資する「余地」を与えるべきと述べ、政府と中銀の協調が必要との認識を示した。

各国政府が脱炭素や供給網多様化の資金を調達し、同時に海外発のショックに対抗するには借り入れコストが十分に低く抑えられる必要があると述べた。

近い将来に財政政策がさまざまな目標を達成する余地を確保できるかは、中銀の政策反応関数次第と指摘。もっと先の将来については、潜在成長率が低くとどまり、公的債務が記録的水準で高止まりするなら、債務動向が実質金利の上昇から機械的に影響を受けることになると分析した。

その上で、中銀はインフレ期待が安定していることに着目し「一時的な物価上振れショック」を見過ごすべきだと論じた。また、政府は投資に焦点を当てた「信頼できる財政の道筋を示す」べきだとした。

中銀の独立性は「分断を意味するのではなく、異なる当局が力を合わせれば、それぞれの責務を損ねることなく政策余地を拡大できる」と語った。

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