どうなる? 鹿児島一の繁華街・天文館の交差点アーケード…震災で補助金縮減、資材や人件費も高騰 1億6000万円資金不足し遠のく着工

アーケードを建設予定の天文館通電停付近=23日、鹿児島市東千石町

 センテラス天文館(鹿児島市千日町)前の電車通りをまたぐアーケードの建設が、資金不足で着工のめどが立っていないことが24日、分かった。整備主体の実行委員会によると、資材と人件費の高騰で、総工費が当初の約2億6000万円から大幅に増えた上、国の補助金も想定通りに見込めなかった。

 実行委は通り会などでつくり、当初は6月着工、2025年1月の完成予定だった。総工費は国と市の補助金のほか、個人、企業からの寄付などで賄うとして、昨年11~12月に8300万円を目標に募った。個人から集まったのは約14万円で、「残りは企業からの寄付のめどが立った」(実行委)としている。

 一方、国の補助率は総工費の最大50%を見込んでいたが、能登半島地震などの影響で24年度の内示は実質15%となった。現時点で、少なくとも約1億6000万円の資金が不足しているという。

 実行委の有馬勝正委員長は「国の補助内示は満額ではなかったが、建設する方針に変わりはない。24年度内の着工、25年度の完成を目指し、(資金調達の)善後策を考える」と説明する。他の複数の委員からは、8月をめどに事業を継続するか最終判断するとの声も上がっている。

 建設を巡っては、天文館地区の12通り会でつくる天文館商店街振興組合連合会が、回遊性を高めようと10年以上前から構想を進めていた。18年に実行委を設立。21年にはまず金生町の鹿児島銀行本店と山形屋の間にアーケードを完成させた。

 センテラス前は、新型コロナの影響で計画が3年遅れた。23年1月から県内外の設計業者を対象にデザイン案を公募。県内外から20社の応募があり、同年7月、天文観測所「明時館」にちなみ宇宙をイメージした東条設計(鹿児島市)の案に決まっていた。

アーケード計画予定地を地図で確認
アーケードの完成イメージ(天文館電車通りジョイントアーケード整備実行委員会提供)

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