ハマったのは大人女子? 「何が出るかな」…ドキドキ感がたまらない 源流は「キン消し」…ガチャブーム再燃 あなたの思い出は?

目当ての商品が入ってることを祈る女性客=17日、鹿児島市のガチャガチャの森センテラス天文館店

 「ガチャガチャ」と呼ばれるカプセル玩具(がんぐ)の専門店が鹿児島県内に続々登場している。日本カプセルトイ協会は「空きテナントの活用策として急速に広まった」と、新型コロナウイルスの影響もあると分析。一方でクオリティーも年々高まり、開けるまで何が出るか分からないドキドキ感は大人もとりこに。一期一会の出合いの場は、市場規模とともに急拡大している。

 鹿児島市のカプセルトイ専門店「ガチャガチャの森センテラス天文館店」は、平日午後にもかかわらずにぎわっていた。約630台が整然と並ぶ販売機の間を何度も行き来し、狙いを決めて硬貨を投入。出てきたカプセルを開けて一喜一憂する大半は大人の客だ。

 保育士女性(55)は20代の娘と一緒に来店。「最初は付き添いだったが、私がハマってしまった。このサプライズ感が好き」と、精巧に造られた文具のミニチュア目当てに、立て続けにハンドルを回していた。

 同店は昨年6月オープン。春田優李店長(23)によると、300~500円がメインで客の8割は成人女性。交流サイト(SNS)で入荷情報を調べて来る人も多いといい「商品の入れ替えが激しく1日でなくなる機種もある。一期一会の出合いを楽しんでいる」。

 ガチャガチャの森は昨年8月、イオンモール鹿児島のテナント跡に進出した。ほかにも同市中町に3月開店した駿河屋天文館店は一角に特設コーナーを設け、4月開店のドン・キホーテ鹿児島中央一番街店も店前に100台以上を並べる。

 日本カプセルトイ協会によると、2023年の市場規模は1150億円(製造元出荷ベース)と、22年の720億円から急拡大。全国約60のメーカーがしのぎを削り、毎月600種類以上の新製品が出回る。都築祐介代表理事(51)は「コロナ下で増えた空きテナントの活用に加え、販売機は電気代もかからず従業員も最低限で済む」と低い参入ハードルが要因とみる。

 カプセル玩具はこれまでも数年間隔で流行した。同協会によると、1980年代に人気漫画キン肉マンのキャラクター消しゴム「キン消し」が第1次ブーム。コロナ下で広まった現在の第5次のトレンドは「SNSとミニチュア」だ。文具やスニーカーなど実在商品のミニチュアで、手に入れたものをSNSに投稿することが定番化。精巧なミニチュアは世界中に広まり、インバウンド(訪日客)の増加も売り上げ増につながる。

 宣伝効果を狙い企業側もメーカーとのコラボ商品を続々投入、主な購買層とされる20~40代女性のニーズとマッチした。都築代表理事は「ぐるっと回してごろんと出るアナログな感覚は癖になる。デジタルに疲れた現代人の癒やしとしても受け入れられているのでは」と話した。

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