LRTに乗ってトコトコ…任務完了! 人をセンサー感知し“戸惑い”も 宇大のロボット実験ルポ

実験で使用したロボット

 次世代型路面電車(LRT)とロボットを活用し、1日に行われた宇都宮大の配送システム実証実験。2台のかわいらしいロボットはJR宇都宮駅の通路などを“トコトコ”と走行。LRTに乗り込み荷物の弁当を無事、芳賀町まで送り届けた。物流の将来を見据えた実験をルポする。

 2台は同大の研究室などが開発した自律型のロボット台車を配送用に改造。1台はLRTの車両「ライトライン」と同じ黄色のカラーリングで流線形。四つのセンサーを搭載した最新型で、ドアの開閉や歩行者用の信号機なども感知する。もう1台はセンサーが二つで、コストパフォーマンスに優れる実用型だ。

 ルートはあらかじめ入力済みだが、実際にLRTに2台が乗るのは初めて。漂う緊張感の中、午前8時10分過ぎに4~6個の弁当を積み、東西自由通路入り口を数分差でスタートした。

 人が歩くよりゆっくりとした速度で長さ約90メートルの通路を通り抜け、交流拠点施設ライトキューブ宇都宮に入館。館内のエレベーターに向かう2台は大勢の報道陣や見物人を引き連れ、まるで大名行列の様相だ。

 館内では、進行方向から撮影を試みる報道陣にセンサーが反応し、ロボットが戸惑ったような動きを見せる一幕も。付き添う学生が走行をリセットし、報道陣も前をふさがないよう配慮して、2台は無事エレベーターに乗り1階へ。停留場では出発を待つ車両のドア前にきちんと止まり、ホームと車両の隙間も見事乗り越え、乗車を完了した。

 実験を聞きつけ、宇都宮駅まで父親と見学に訪れた下野市上古山、小学3年日下田大和(ひげたやまと)さん(8)は「自動で走っていて、かっこ良かった」と目を輝かせた。

 車両は45分後、かしの森公園前停留場に到着。2台はホームを降りると、横断歩道の前で停止。青信号を自ら認知して道路を横断し、同公園にたどり着いた。出迎えた芳賀町の大関一雄(おおぜきかずお)町長は弁当と一緒に届けられたコーヒーを飲み「歴史的な瞬間に立ち会えた。コーヒーもうまい」と喜んだ。

 2台に同行した同大大学院1年川内涼輔(かわうちりょうすけ)さん(22)は「準備が短期間で大変だったが、狭い場所の走行もクリアできて実験は成功だった。(混雑した場所での走行という)課題も抽出でき、ロボットにご苦労さまと言いたい」と手応えを実感した様子だった。

関係者が付き添う中、自動でLRTに乗車し待機するロボット=1日午前8時50分、宇都宮市東宿郷4丁目
目的地のかしの森公園に到着したロボットから弁当を取り出す関係者=1日午前10時10分、芳賀町下高根沢

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