オール五箇山の酒完成 南砺・三笑楽酒造と農業公社 有機米使い新ブランド

有機栽培の酒米を使った「五箇山」を紹介する(右から)上口理事長、山﨑社長、田中市長=南砺市の五箇山合掌の里

  ●7月発売「山菜料理に合う」

 南砺市の五箇山で収獲した有機栽培の酒米「山田錦」を三笑楽酒造(同市上梨)が仕込んだ日本酒「五箇山」が完成し、同市菅沼の五箇山合掌の里で3日、県や市、観光協会の関係者に披露された。蔵元、酒米とも「五箇山産」にこだわった初の日本酒で、試飲した出席者から「飲みやすく山菜料理と合う」との声が聞かれ、新しいブランド酒は7月1日から販売し、地元農業振興につなげる。

 同合掌の里で、田中幹夫市長、酒米を栽培した五箇山農業公社の上口長博理事長、三笑楽酒造の山﨑英博社長が発表した。

 「五箇山」は720ミリリットル、価格2530円(税込み)。ラベルは里山に囲まれ、田植えの緑から稲刈りの黄金色に変化する五箇山の四季の田を表現した。

 市と連携した五箇山農業公社が、付加価値を高めた米作りを目指し、昨年初めて無農薬、有機肥料で酒米「山田錦」を収穫した。三笑楽酒造は五箇山の伏流水で、酒米約600キロを仕込んだ。限定1千本を製造し、県内外の酒販店で販売する。

 杜氏(とうじ)でもある山﨑社長によると、昨年は猛暑の影響で、酒米全体が堅くなったが、有機栽培の山田錦はうまく水に溶け、香りがあり、飲みやすい酒に仕上がった。同社は酒粕を小矢部市の酪農家に牛の餌として提供し、この牛糞堆肥を酒米の田への使用を検討する。

 市有機農業産地づくり検討会の酒井富夫会長(富大名誉教授)は「五箇山の田畑に有機栽培を広め、循環型の農業を確立してほしい」と期待した。

 三笑楽酒造は先月31日に中国・上海で開かれた「日本の酒サミット」に純米大吟醸「三笑楽」など3銘柄を出品し、海外展開に意欲を示し、田中市長は「五箇山は海外にも発信できる」と激励した。

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