「なぜエース朱婷を使わないのか!」猛批判を浴びる中国女子バレー監督の“狙い”に地元メディアが独自見解!一方で意外な人物が“名前違い”で大迷惑な状況に…【ネーションズリーグ】

パリ五輪予選を兼ねた女子バレーボールのネーションズリーグは、出場16か国が6月2日までに1次ラウンド(全12試合)の8試合を消化。日本女子代表はここまで6勝2敗の4位と上位をキープし、最新世界ランキングでもアジアトップの6位と、パリ行きチケット獲得に向けて上々の結果を残している。

かたや、不安定な戦いぶりが続く中国女子代表には非難が絶えない。直接のライバルである日本にセットカウント1対3で敗れた試合後には、蔡斌(サイ・ビン)監督の消極的な采配に否定的な声が殺到。さらにイタリアにも敗れると、同監督の名がウェイボー(中国版X)のトレンドワード2位に浮上するなど、ちょっとしたバッシングに晒されているのだ。

怒れる中国ファンが納得していないのは、3年ぶりに復帰したリオ五輪金メダルメンバー、朱婷(シュウ・ティン)の起用法である。29歳のレジェンドは今大会に入ってから途中出場が続き、日本戦でも第4セットのみのプレー。試合後に朱婷は「日本が私たちより良いパフォーマンスをみせたのは間違いない。マジカルと言っていいほどだった。身長は私たちより低いけども守備が堅固で、実に力強い。少し驚きですらあった」と持ち上げた一方で、自チームに対しては「守備がダメ、ブロックがダメ、サーブがダメ、アタックがダメ」とダメ出しを連発。「とくに守備面での綻びが顕著で、日本の攻撃にまるで対応できていなかったと思う。全体的に失望しかなかった」と断じた。

にわかにチーム内の不協和音が取り沙汰されたが、これについては地元メディアの憶測に過ぎなかったようだ。中国メディア『捜狐体育』は一連の監督批判に関して「たしかに蔡斌のマネジメントには非難の声が多く寄せられているが、彼が見据えているのはあくまでパリ五輪での勝利だ」と擁護。そのうえで「いまはさまざまな新しいテストを繰り返している。攻守に影響力がある朱婷を頭から使うかどうかにも慎重で、まずはチームに馴染ませるのが第一だと考えているのだろう。そして朱婷を温存することで、パリ五輪では特殊兵器として使えると期待を寄せているに違いない」と予測する。五輪予選の先を見据えた采配、という見解だ。
そんな蔡斌監督と名前がそっくりな人物が大迷惑を被っているという。男子バドミントンの元世界ランキング1位で、2012年のロンドン五輪・男子ダブルスで金メダルに輝いた蔡贇(サイ・ユン)氏だ。よく見ると名前の漢字の部首が同じである。

『捜狐体育』によると、ここ数年中国女子バレーボール代表が不本意な結果に終わると、蔡贇氏のウェイボーには批判的なメッセージが続々と送られてくるという。完全に人違いをされているわけだ。

氏は最新の投稿で「実は僕はサッカーとバレーボールが得意なんだ。でもどんなに上手くても代表チームに指示なんて出せないよ」と冗談交じりに切り出すと、「それがどういうわけか何年にも渡って、代表チームが敗れると僕が怒られるんだ。もういいかげん僕の名前を覚えてほしい。僕はバレーボールが下手なほうの蔡だよ!」と呼びかけている。口調は穏やかだが、いったいどれだけの数のメッセージが届いているのだろうか――。

構成●THE DIGEST編集部

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