雫石・長栄館、15日で営業終了へ 譲渡探るも、交渉行き詰まる

長栄館=雫石町鶯宿

 盛岡地裁から破産開始決定を受けた雫石町鴬宿の老舗旅館・長栄館(資本金4千万円、照井久美子社長)は15日で営業を停止する方向となった。破産管財人の管理下で旅館を継続して事業譲渡を探ってきたが、不動産の抵当権を持つ県内金融機関との交渉が行き詰まり、運転資金も枯渇して判断したとみられる。

 14日まで宿泊予約を受け付け、15日朝の客の見送りをもって営業を停止する。従業員28人は解雇となる見通し。今後も事業譲渡の交渉を継続するかは未定。

 長栄館は営業を続けながら、スポンサー企業を探してきた。温泉旅館再生企業など8社の申し入れがあり、そのうち2社が再生計画を提案した上で入札に参加。最高額2億円をつけた企業を有力な譲渡先として選んだが、不動産の抵当権を持つ金融機関は2億円での担保解除を拒否し、最低価格を3億3千万円に設定した再入札を要求。交渉は膠着(こうちゃく)状態となっていた。

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