梅雨入り前に走りたい! ドライブ&ツーリング「厳選・絶景ルート5選」現地レポ

天空のカルストと呼ばれている高知県の四国カルスト(撮影:酒井 天里)

桜が開花してから6月頃の梅雨入りまでの間はライダーにとって最高のシーズンだ。晴れた日の日中の気温はおよそ20〜25℃、爽やかな春の新緑の空気を吸い込んで、アクセルを緩やかに開けて進んでいくと夢見心地な気分になる。

今回はそんな季節にこそ、ぜひ行ってほしい全国各地の絶景ツーリングスポットを、2018年の4月から10月にかけて約半年間バイクで日本一周をした筆者が5か所紹介する。

■絶景ツーリングスポット1【福島県】「磐梯吾妻スカイライン」

「磐梯吾妻(ばんだいあづま)スカイライン」は、福島県の「高湯(たかゆ)温泉」から「土湯(つちゆ)峠」を結ぶ全長約29kmの山岳道路で「日本の道100選」に選ばれている。最高到達点は標高1,622mあり、日本とは思えないダイナミックな風景の中を走る絶景道だ。

特に中間地点にある「浄土平(じょうどだいら)」付近の風景は素晴らしく、訪れる多くの観光客を魅了している。ちなみに車やバイクを停めて美しい風景を撮影したくなるが、場所によっては火山ガスが滞留しているため、注意が必要だ。危険個所には標識が立っているのでよく確認をしよう。

浄土平には「浄土平ビジターセンター」には駐車場があり、ここを拠点に周辺の山への登山やハイキングも可能だ。おすすめは駐車場から道路を挟んですぐの階段から10分程で登れる「吾妻小富士(あづましょうふじ)」だ。登り切ると大迫力のすり鉢状の火口を見ることができる。火口の周りは1時間程で1周できるので、時間があれば歩いてみよう。

磐梯吾妻スカイライン「浄土平ビジターセンター」
住所:〒960-2157 福島県福島市土湯温泉町鷲倉山1

■絶景ツーリングスポット2【長野県・群馬県】「毛無峠」

「毛無(けなし)峠」は、長野県と群馬県の県境に位置する峠だ。名前の通り、木々が生えてない荒涼とした山岳風景が楽しめる絶景スポットで、ドライブで行く秘境として有名だ。

峠には明治時代から昭和初期頃まで大規模な硫黄鉱山があり、その時に使われていた鉄塔が今でも残されている。役目を終えて朽ちていくだけの鉄塔を眺めて、かつての賑わいを想像するのもよい時間だ。

アクセスできるのは長野県側だけで、群馬県側は未舗装路があるが、現在は通行止めとなっている。ちなみにこの通行止めの場所に設置してある群馬県の標識が風化している様や「この先危険」「遭難多発区域」と書かれた看板から、この写真と共にSNSに「群馬県はなんて恐ろしい場所なんだ」とネタとして投稿されることが多かったりもする。

毛無峠
住所:長野県上高井郡高山村高井

「四国カルスト」はその名の通り、四国の高知県に位置する日本三大カルスト台地の一つだ。カルストとは石灰岩等が雨や地下水に浸食されてできた地形のことで、そこに緑が生い茂ると草原の中に白い石灰岩が露出した美しい風景が生まれる。

標高は1,000〜1,500mあり、山奥に位置しているため、カルストの風景とともに深い山々の絶景を楽しめる。また、カルスト台地の中を通る「四国カルスト縦断線」はその標高の高さと、どこまでも広がるパノラマ風景の中を通ることから「天空の道」と呼ばれることもある。

カルスト内には牛が放牧されており、近くで眺めることができる。カルスト台地の風景と合わさると、まさに牧歌的な風景となり、見ているだけで心洗われるように感じる。

四国カルスト
住所:愛媛県上浮穴郡久万高原町西谷

■絶景ツーリングスポット4【山口県】「角島大橋」

「角島(つのしま)大橋」は、山口県にある本州と角島を結ぶ全長1,780mの橋だ。コバルトブルーの透き通った海に向かって真っ直ぐ延びる橋はまさにフォトジェニックの一言。CMやドラマのロケ地として度々使われており、山口県の人気観光スポットとして有名だ。

ちなみに橋とコバルトブルーの海を綺麗に見るためには、少し高台に上がった位置にある「角島展望台」から見るのがおすすめだ。

また、バイクで橋を走り抜けるのも非常に気持ちよいので、眺めるだけでなく角島まで駆け抜けてみよう。角島はバイクで30分程で一周できる小さな島だが、日本海側初の洋式灯台である「角島灯台」や角島大橋を角島側から眺められる「瀬崎陽(せさきあかり)の公園」など写真映えするスポットがいくつかあるので合わせて観光してほしい。

角島大橋
住所:山口県下関市豊北町大字神田

■絶景ツーリングスポット5【鹿児島県】「桜島」

「桜島」は、鹿児島県の「錦江(きんこう)湾」に浮かぶ鹿児島のシンボル的存在だ。面積は約80キロ平方メートル、周囲約52kmある火山島で、今も活発に火山活動が続いている活火山でもある。

桜島へは薩摩半島側からは鹿児島市から「桜島フェリー」で15分、大隅半島側からは陸続きになっているため、橋で渡ることができる。島内は一周することができ、桜島の迫力満点の山容を近くで眺められる展望所がいくつかあるので、散策してみるといいだろう。

日常的に噴火をしているため、タイミングが良ければ火口から噴煙が上がる迫力満点の風景を見ることができる。桜島島内や鹿児島市や垂水市など桜島周辺をバイクで走る際の注意点として、降り積もった火山灰が滑りやすいので、路面状況を確認して慎重に走ろう。

桜島
住所:鹿児島県鹿児島市桜島赤水町

■ぜひ訪れて、自分の五感で楽しんでほしい

今回紹介した5つのポイントはいずれも筆者にとって印象深かった場所だ。それは素晴らしい景色はもちろんのこと、その場所の風や匂い、辿り着くまでの行程を加味してのことだ。

四国カルストに吹く爽やかな風や桜島の火山灰で空気がよどんでいる様子など、その場所に行かないと感じられないことが多々ある。そのため、ぜひ写真だけ見て行った気持ちにならないで実際に足を運んで見てほしい。きっとあなたにとっても印象的な場所になるはずだ。

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