新車販売停止▶下取り減▶中古車高騰…自動車5社認証不正は系列外にも影響拡大 ディーラーやレンタカー業者「しっかりして!」 鹿児島県内

各ディーラーの車を扱う中古車販売店。対象車種も並ぶ=4日、鹿児島市の浜田博自動車

 一連の認証不正問題でトヨタ自動車が国土交通省の立ち入り検査を受けた4日、鹿児島県内の系列販売店は対象車種の新規契約を停止するなど、顧客対応に追われた。トヨタやホンダといった日本を代表するメーカーの相次ぐ不正に、販売業者からは「しっかりして」「業界不信につながる」と厳しい声が聞かれた。

 「お客さまに心配と不安を与えご迷惑をかけている。寄り添って対応したい」と話すのは、鹿児島トヨタ自動車(鹿児島市)営業本部の崎池慎一郎・新車担当責任者(61)。4日は対象車種の利用者に対し、メーカーから届いた説明通り、安全性に問題がないことを伝え続けた。

 トヨタは現行生産3車種で出荷停止の指示を受けている。鹿児島トヨタによると、3車種の納車待ちは計310台。崎池新車担当責任者は「出荷停止がいつ解除になるのか見込めない」と、順次、遅れる旨の連絡を始めた。子会社のネッツトヨタ鹿児島(同市)も同様の対応を進めた。

 認証不正問題は系列店だけではなく、中古車市場にも影響を及ぼしかねない。

 浜田博自動車(同市)では、販売する約110台のうち半数以上がトヨタ車だ。浜田博隆専務(50)は今回の一報に、全車種出荷停止となったダイハツ工業の認証不正が頭をよぎった。新車の販売停止が長引けば下取りも減り、中古相場も高騰する。「ダイハツの時もじわじわと影響が出て尾を引いた。今後の売り上げが不安」と顔を曇らせた。

 同市で自動車販売を営む50代男性は、新車で入荷予定のマツダ車が出荷停止と知り、がく然とした。系列店に納期を問い合わせたが明確な回答はない。昨夏に起きた中古車販売大手の整備不正問題がやっと落ち着きを見せる中、「自動車業界全体への不信感が再燃するのが怖い」とため息を漏らした。

 離島で複数のレンタカー店を経営する50代男性は「安全性に不備があるわけではなく、店にどのような影響があるのかさえ今のところ見通せない」と戸惑う。保有する計約110台の中に対象車種があるのか把握し切れていない。ただ「出荷停止が長引けば、車両の更新時に困る店も増えるだろう」と話した。

〈別カット〉各ディーラーの車を扱う中古車販売店。対象車種も並ぶ=4日、鹿児島市の浜田博自動車

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