不起訴のシェフラーが2週ぶり出場 提訴の意思はなし「“許し”を信じている…顔写真は消えないけどね(笑)」

メモリアル・トーナメントの会見に登場したスコッティ・シェフラー(撮影:GettyImages)

<メモリアル・トーナメント 事前情報◇4日◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7569ヤード・パー72>

1週のオフを経て、6日(木)開幕の「メモリアル・トーナメント」に出場する世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)は4日、会場のミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)で公式会見に登場した。

5月にケンタッキー州ルイビルで行われた「全米プロ」の期間中、警官の指示に従わず無謀運転などの罪で拘束されたシェフラーだが、その後、ルイビル検察はすべての起訴を取り下げた。晴れてシェフラーは無罪となった。

「前週にはおそらく起訴は取り下げられると思っていた。明らかに、僕たちには多くの証拠があった。だけどその時点では、法的な手続きを任せる必要があった」とシェフラー。最終的には5月29日に検察は起訴を取り下げた。

「すべてを過去にしたい」とコメントを発表したシェフラーは、「早く普通の生活に戻りたい」という。しかしながら、ルイビル・メトロポリタン警察ではオレンジ色のシャツを着て“顔写真”を撮られた。それはいわゆる犯罪者が撮られるそれと同じで、パブリックレコードとして一般に公開される。その結果、シェフラーの写真はSNSなどで大きく拡散された。

あの逮捕劇は「トラウマとなり思い出される」とシェフラー。「あの“顔写真”は…。きっと簡単には消えないだろうね(笑)」と話した。

シェフラー側に有利な証拠や証人がたくさんそろっていたこともあり、万が一、ルイビル検察が起訴をしたときには戦う予定だった。起訴が取り下げられた現在、ルイビル・メトロポリタン警察を提訴することは考えてないのか、と尋ねられたシェフラーは「個人的にはその考えはない」ときっぱり否定した。

「(代理人の)スティーブは100%以上の準備は整えていた。もしルイビル市警に法的措置をとれば、ルイビル市警が犯した過ちのためにルイビルの人々が支払った税金が使われることになる。それは正しいことではないと思う」

最後に「“許す”ということは、私たちの社会で失われているものだと思う。人が何か間違いをしたとしても、その人が悪人だということではない。僕は“許し”を信じている」と締めくくった。(文・武川玲子=米国在住)

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