豚熱、全頭の殺処分なぜ? 洋野で発生、農家から疑問の声も

豚熱が発生した養豚場での埋却作業(県提供)

 洋野町の養豚場で豚熱(CSF)が発生し、約1万7500頭の殺処分が進む。国はまん延防止のため、豚熱に感染した豚だけでなく、発生した養豚場にいる全ての飼育豚を殺処分の対象にしている。致死率が高く、ウイルスを絶って豚肉の安定供給を守るためだ。一方で、ワクチン接種を済ませた豚も含める対応に、養豚農家からは「厳しすぎる」「経済的影響が大きい」と疑問の声も上がっている。

 達増知事は4日、久慈市の久慈地区合同庁舎を訪れ、対応に当たる職員に「県で初の大規模な防疫作業で大変だと思う。使命感を持ち、作業に当たってほしい」と述べた。感染が確認された養豚場では、3日午後7時までに7818頭が殺処分され、進捗(しんちょく)率は44%となった。

 家畜伝染病予防法は、感染が発生した養豚場の家畜全てを殺処分するよう規定する。岐阜市の養豚場で国内26年ぶりに豚熱が確認された2018年9月以降、21都県で92件発生。計約40万頭が処分されている。

© 株式会社岩手日報社