〈鹿児島県知事選〉告示まで2週間、3陣営とも政党カラー抑えに腐心…なぜ? 支持拡大へ、それぞれが抱く思惑とは

 20日告示の鹿児島県知事選まで2週間となった。現職の塩田康一氏(58)、新人で元自民県議の米丸麻希子氏(49)、同じく新人で市民グループ共同代表の樋之口里花氏(52)=いずれも無所属=の3陣営は、推薦や支援を受ける政党、所属していた政党のカラーを出さないように腐心しながら支持拡大を図っている。

 「支援の幅が広がり、県民党、オール鹿児島の体制ができつつある。非常にありがたい」

 推薦を受ける連合鹿児島と政策協定を結んだ5月末、塩田氏は報道陣に答えた。自民、国民民主両党に加え、野党最大の支持組織からも応援を取りつけた。

 本人や家族が地元の自民議員らと地域を回り、前回選挙で草の根運動を展開した後援会メンバーと合間を縫って小規模の意見交換会なども開く。

 直近の静岡県知事選では自民推薦候補が敗れ、派閥裏金事件の余波とささやかれる。本人は「影響を感じない」と語るが、陣営は自民街宣車の出動を断った。県議も「党名を出すのは得策ではない」と理解を示す。

 米丸氏は、各地で開く対話集会で「多数派を占めるので政策が実現しやすかった」と、無所属で県議に初当選した直後に自民入りした理由を説明する。

 県が鹿児島港本港区(鹿児島市)のドルフィンポート跡に計画する新総合体育館を巡っては、党県議団の方針と折り合わず採決で退席するなど反対姿勢を貫いたと強調。「計画を止めるには、立候補するしかないと思った」と訴える。

 全国の選挙戦で裏金事件の逆風が続くことを踏まえ、陣営は「自民に見切りをつけたと有権者に受け止めてもらいたい」と期待する。一方で、集会出席者からは「自民県議として活動した点は評価が分かれる」との声も聞かれる。

 新日本婦人の会鹿児島支部事務局長も務める樋之口氏は、出馬会見で所属政党を問われ「お話しする必要がない」と拒否。無所属で立候補し、政党に推薦願を出さない方針を示した。

 ただ、会見翌日には共産党県委員会が「自主的支援」の方針を決定。陣営幹部は「原発や西之表市馬毛島の基地は一党一派に限らず重要な問題」と強調する。

 6月1日には、共産や反原発の市民団体メンバーらで構成する政治団体「みんなの声でかごしまをつくる会」の結成総会があり、樋之口氏への支援を誓った。出席者の一人は「共産推薦となれば応援できない人もいる。無党派層を狙って最大公約数を取りに行く考えだろう」と分析した。

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