電話相談「継続したい」 前身引継ぎ3年 居場所に 町田市

電話相談を受ける山下さん

誰にも話せない悩みや困難、さみしさを匿名で話すことができる電話相談室として町田市内で活動してきたボランティア団体が先月、設立3年目に入った。代表の山下尚美さんは「電話をかけてくれる人たちの身近な存在として、今後も活動を継続していきたい」と思いを話す。

山下さんが代表を務める「電話相談室ことり」は、電話越しの相手の声に耳を傾ける「傾聴」を基本とし、相手がどうありたいと思っているのか、じっくりと寄り添うボランティア団体。およそ20年前に発足した団体が人数不足などを理由に解散したことを機に「取り組みを絶やしてはいけない」と活動を受け継ぐ形で誕生した。

現在は12人の相談員らが在籍し、様々な悩みや困難、寂しさを抱える相談者からの電話に耳を傾けている。相談内容はパートナーとの死別・離婚、自身の施設への入所についてなど様々で、代表の山下さんは「昔から相談をしてくれる人もライフステージの変化とともに身の置き場、心模様も変わってきた。どんな環境になっても、電話さえあればこの相談室が『居場所』になるのではないかと思う」と話す。

諦めずに

山下さんによると、かつては市内に10数団体あった電話相談室も、活動の拠点が維持できないなどの理由から徐々に減少しているという。

ことりが活動を続けるのは「細々だとしても、相談したい人がいるのであれば諦めずに継続していくのが大切ではないかと考えている」と山下さん。「誰かの相談を聞くなんて柄にもないと思っていた」なか、電話相談に乗るようになったのは、前身団体の会長から勧められ参加した傾聴の講座がきっかけだったという。「相談室にくると、誠実に向き合わなくてはという覚悟が芽生える。相談者が自分の方向性を見出せるように、見守りの立場として務めている」

一方で他のメンバーの一人は「相談は『一期一会』。じっくり聞くのは大変難しいことだが、電話越しに相談者が自分なりの道を見つけた様子を感じ取れると、話を聞いて良かったと思える」と表情をほころばせる。

電話相談室ことりは毎週月・火曜日の午前11時から午後2時の間、相談を受け付けている。連絡はことり【電話】042・734・4636へ。

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