ゴルフ界で最も稼ぐ男 ジョン・ラームの“コンパクト”かつ“クイック”なスイングはまるでホッケー!?【世界基準の飛ばしテク】

ジョン・ラームは助走距離が短いのになぜ飛ぶ?(撮影:GettyImages)

瞬く間に速く美しく振り抜いていく、世界のトップ選手たちのスイング。決して真似はできないけど、見ているだけでワクワクしてくる。今回、取り上げるのはLIVゴルフへ電撃移籍を果たしたジョン・ラーム(スペイン)。21年の「全米オープン」、23年の「マスターズ」を含む米ツアー通算11勝を挙げている29歳のスイングを、奥嶋友昭氏が解説する。


 
ラームはトップ・オブ・スイングが小さく、まるでホッケー選手みたいです。バックスイングは肩の高さで終わり。始動から全速力でクイック。すごくコンパクトなのに、しっかり飛距離も出ます。
 
スイング全体を通して足はあまり動かさない。感覚としては上体で打っている感じです。体の形がずっと変わらず同じ場所にいます。手首の形を変えずに上げていって、切り返しの反動で少しコックを入れるので、バックスイングが小さくてもスピードが出せます。

ショートトップのメリットはミート率が高いこと。しかし、普通の体力のゴルファーがここからスピードを出すのは難しい。基本的にはかなり腕力が強くないと飛距離を出すことはできません。ヘッドスピードはあるけど、曲がってしょうがないという人には、ラームのバックスイングの小さいホッケースイングは効果があると思います。

■ジョン・ラーム
94年生まれ、スペイン出身。188cm、100kg。昨年12月、LIVゴルフへの電撃移籍を発表し、その移籍金は推定3億ドルとも5億ドルとも言われた。今年5月に米経済誌フォーブスが発表した『世界のスポーツ選手長者番付』では、2億1800万ドル(約340億円)でゴルフ界最上位の2位にランクイン。今季デビューしたLIVゴルフでは、これまで7戦に出場してまだ優勝はないものの、すべてでトップ10入りしている。
 
■奥嶋誠昭
おくしま・ともあき/1980年生まれ、神奈川県出身。これまでに稲見萌寧や木下稜介のコーチを務め、2021年の東京五輪では稲見のキャディとしてバッグを担ぎ、銀メダル獲得をサポートした。現在は横浜市にあるスタジオ、『THE REAL SWING GOLF STUDIO』でプロやアマチュアの指導を行っている。

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●渋野日向子は今季、予選落ちが続いて不振に陥っていたが、「全米女子オープン」では打って変わって優勝争いに加わり単独2位に入った。好調の要因はどこにあるのか。関連記事【クラブが上から入るようになった渋野日向子 “厚い当たり”が大躍進のポイントだった!】では、現地でプレーを見ていたプロコーチの南秀樹が渋野のスイングを解説している。

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