栃木県内23年出生数、初の1万人割れ 出生率1.19で最低更新 50年間で半減

 2023年の栃木県内の出生数は9958人となり、初めて1万人を割ったことが5日、厚生労働省の人口動態統計(概数)で分かった。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1.19となり、4年連続で過去最低を更新した。急速に進む少子化に歯止めをかけるため、県は合計特殊出生率の目標(25年1.59)を掲げ対策を講じているが、深刻さは一層増している状況だ。

 出生数は11年連続の減少で、23年は前年より560人減った。1957年以降3万人台を割った出生数は72年に回復したものの、75年に再び3万人を下回った。2023年は73年(3万1785人)の3分の1程度まで落ち込んだ。

 合計特殊出生率は前年の1.24から0.05ポイント下がった。県の統計で確認できるピークは1973年の2.36で、この50年間でおよそ半減したことになる。

 2023年の合計特殊出生率を都道府県別に見ると、本県は大阪府と並び10番目の低さだった。隣県の茨城県は1.22、群馬県は1.25で、北関東の中では最も低かった。

 婚姻件数も減少傾向が続いており、23年は前年比560件減の6594件。非婚化や晩婚化に加え、結婚後に子どもを持たないなど、価値観の多様化も少子化の一因となっている。離婚件数は73件増の2731件だった。

 県は23年8月に「とちぎ少子化対策緊急プロジェクト」を策定し、縁結び事業や産後ケア利用者負担の軽減、第2子保育料無償化など各種施策を展開。今年4月には少子化対策に特化した「県こども未来推進本部」を新設し、福田富一(ふくだとみかず)知事をトップに県庁を挙げて議論を進めている。

 合計特殊出生率の過去最低更新を受け、福田知事は「重く受け止めている。実施事業の進捗(しんちょく)管理を適切に行い、効果を上げていく」とのコメントを出した。6月下旬に未来推進本部の会議を予定しており、これまでの施策の実効性や課題などを共有するという。

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