「日本のファンは公平で連帯感が強く…」ドイツの主砲は日本戦の雰囲気に感銘! 惜敗も「最高にハイレベルで楽しい試合だった」【ネーションズリーグ】

福岡・北九州市で開催中のバレーボール3大国際大会のひとつ、ネーションズリーグ(VNL)男子の予選ラウンド2週目。6月5日に行なわれた第2戦で、世界ランク4位の日本代表が同11位ドイツ代表と対戦し、セットカウント3-2(25-22、22-25、25-27、25-23、15-8)で逆転勝利を収めて2連勝を飾った。

日本は主軸を担う主将・石川祐希と高橋藍が2週目から参戦。第1戦でイランに快勝し、成績を4勝1敗として第2戦に臨んだ。先発は、代表シーズン今季初戦で違いを見せつけたアウトサイドヒッター(OH)の石川と高橋(藍)、オポジット(OP)西田有志、司令塔に関田誠大、ミドルブロッカー(MB)は小野寺太志。MBもう1枚をイラン戦先発の山内晶大から高橋健太郎に、リベロは小川智大から山本智大に替えて起用した。

ドイツは、現役時代に好守の要としてポーランド代表で活躍し、2022年に就任したミハウ・ヴィニャルスキ監督がチームの成長に尽力。昨秋の五輪予選は、ブラジル、イタリア、キューバら強豪を軒並み倒し、全勝でパリ行きの切符を獲得した。今大会1週目は3敗を喫して振るわなかったが、2週目からはメンバーを大幅に変更。日本戦へは、1週目から継続のOHトビアス・ブランドとリベロに加え、セッターの主将・ルーカス・カンパ、イタリアリーグに2019年から2シーズン籍を置いたOHモーリッツ・カリツェク、213cmのMBトビアス・クリックらの合流組で布陣を固めた。ベテランOPゲオルギ・グロゼルもリベロ枠でベンチ入りした。

第1セットを終始リードを守って先取した日本だったが、第2セットでサーブが走り出したドイツに最終局面で逃げ切られて試合は振り出しへ。追いかける時間が続いた第3セットは高橋(健)と西田のサーブでブレークを重ねて逆転に成功するも、20-16から再び相手のサーブとアタッカー陣の決定力に押され、2度のセットポイントを逃してドイツに王手をかけられる。
しかし、そこで終わらないのが今の日本だ。第4セットはサーブが好調な相手にエース3本を決められ前半にビハインドを負うも、小野寺の好守を繋いだ西田の2段トスを高橋(藍)がレフトから叩き逆転。すると審判へ抗議を繰り返した相手の主将がレッドカードを受けて、日本へ1ポイントが加算される。それでも、粘るドイツに18-18と巻き返されるが、僅差のままリードを死守。迎えたセットポイントで相手のプッシュを、石川が空中でこらえてブロックで押し込みイーブンへ戻した。
最終セットは、西田のライト攻撃3打で前に出てコートチェンジ。さらに、石川のエース1本を含むサーブを起点に3選手が次々と得点を重ね、4連続ブレークで一気に加速する。6点リードでマッチポイントを迎え、4セット目からコートインした山内がエースを叩き込んで試合終了。容易に勝利を譲らずに成績を5勝1敗として、予選2位(暫定)へ浮上した。

チーム最多となる21得点を、OH石川(アタック18、ブロック2.エース1)とOP西田(アタックのみ)が記録。ドイツの得点がOH2選手に集中したのに対して、日本は両選手に加え、OH高橋(藍)が16得点(アタック15、ブロック1)とMB小野寺が15得点(アタック10、ブロック4、エース1)で、4選手が二桁をマークした。これを受けて、国際バレーボール連盟が提供する配信サービス『Volleyball TV』の解説者でオーストラリア代表やドイツリーグ1部のクラブで指揮官を歴任するリアム・スケッチャー氏は、攻撃陣の高いスキルはもちろんと前置きした上で、「セキタの才腕は、強い日本の礎」とセッター関田のずば抜けた判断力と技術による配球を絶賛した。

ドイツバレーボール連盟は公式HP上で、「日本は2セットを奪われても、あきらめることなく最終セットでギアを上げて序盤から主導権を握り、ホームの応援を力に最後は勝利を手中に収めた」と試合結果を伝えている。
また、全体トップの27得点を挙げたOHカリツェクは、「大接戦だった。両チームどちらも素晴らしい戦いをした。日本は見事だった。おめでとうと言いたい」と日本に祝福のコメントを残した。

26得点で後続につけたOHブランドも、「白星を手放してしまったので少し残念な思いだ。しかし、最高にハイレベルな戦いで楽しい試合だった」と述べ、「日本の観客の前でプレーするのはとても心地がいい。ファンはとても公平で連帯感が強く、にぎやかさも最高。ここ日本でホームの日本代表と対戦でき、とてもうれしかった」と観客のマナーや会場の雰囲気を高く評価した。
同連盟は、パリ五輪でメダル候補の一角とされる日本に善戦したことで、「この黒星は悲観に値せず、ステップアップへの試金石」とも述べている。

日本代表は第3戦(日本時間7日19時20分開始)で世界ランク1位ポーランドと対戦する。パリ五輪を控え現在地を測る意味で大事な一戦となりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社