議員報酬アップの根拠データに過誤 姶良市議会、平均値算出に使う「類似団体」を少なく表記 漏れた自治体含むと1万円低く

姶良市の「議会と語る会」で配布された資料の一部。議員報酬の根拠とされた九州内の類似団体の平均が41万2000円とあるが、実際には他の4団体が載っていない。合志市の議員定数は正確には19

 鹿児島県姶良市議会の全議員で構成する「議会改革推進会議」が、昨年12月の全体会で議員報酬(月額)を10万円以上増やし41万2000円とすると決めた根拠としたデータに過誤があることが6日、南日本新聞の調べで分かった。41万2000円について、九州で人口、産業構造が似た「類似団体」(2020年度)の平均値を根拠としていたが、算出したのは6自治体分だけ。実際はそれ以外にも4自治体あり、4自治体全ての議員報酬が41万2000円を下回っていた。

 市議会は1~2月に市内で計6回開催した「議会と語る会」でも、誤ったデータが記された資料を市民に配っていた。データは22年12月頃、同会議幹事だった1人の議員がまとめ、他議員と読み合わせはせず、議会事務局も確認作業に関与していなかった。

 データをまとめた議員は「議員報酬が高い市だけを故意に挙げたわけではない。どうして(4市が)漏れたか分からない。読み合わせなどしなかった点は反省している」。当時推進会議委員長だった議員は「ダブルチェックしなかった責任を痛感している。市民に申し訳ない」としている。

 推進会議が作成した資料に記された類似団体は、福岡県の太宰府市(議員報酬44万4000円)、宗像市(44万1000円)、小郡市(42万2000円)、佐賀県鳥栖市(41万3000円)、熊本県の荒尾市(38万4000円)、合志市(37万円)。

 南日本新聞の調べによると、脱落していた自治体と現在の議員報酬は、福岡県の古賀市(40万円)、福津市(38万8000円)、那珂川市(36万4000円)、長崎県大村市(40万円)。4市を含めると、平均値は約1万円低くなる。

 議会は議員定数(現在24)について、6類似団体の議員定数の平均19.3を参考に20に減らす方針を示しているが、6団体のうち合志市の定数が実際は19なのに、20と誤記載していた。

 市議会議員の現在の月額報酬は30万3000円。報酬増について、語る会で市民から異論が相次ぎ、条例改正に向けた手続きは進んでいない。

 類似団体は、自治体運営の参考にしてもらおうと総務省が分類。一般市は16類型に区分されている。

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