【セルジオ越後】ミャンマー戦で3バックを採用も、ほぼ“2バック”。実力差があり過ぎたよ。2得点の小川も、本当の意味でのアピールはこれからだ

北中米ワールドカップのアジア2次予選で、森保ジャパンはミャンマーと敵地で対戦。5-0で勝利した。

スコア通りというか、日本が実力で相手を大きく上回っていたね。個々のスキルはもちろん、戦術や体力でも明確な差があった。絶対にジャイアントキリングが起きないと思えるような感じだった。

相手はホームなのに、作戦は得点を狙うのではなく、失点をひとつでも減らすことだけに見えた。日本の選手たちがボールを保持しながらゆっくりしていても、ミャンマーの選手たちは奪いに来ようとしなかった。

森保監督はスタートから3バックを採用したけど、ほとんど“2バック”だったね。谷口と橋岡は多少ディフェンスをしていたけど、伊藤はどんどん上がれていた。ウイングバックの中村も菅原も、高い位置で仕掛けることができた。ボランチの守田と鎌田は、まるでトップ下かのように振る舞っていた。

日本にとっては、むしろ気の毒になるぐらいの内容だった。いつも言っていることだけど、実力差があり過ぎると、レベルが高い方が過剰に良く見えるため、正確な評価が難しい。だから、マン・オブ・ザ・マッチは選出しないよ。

【動画】森保ジャパンJの小川航基が2点をゲット!
先発に抜擢された小川は2点を決めた。でも、この試合のパフォーマンスだけではスタメンを確保できたとは言えないよ。せいぜい代表定着へのきっかけを掴めたぐらい。それは本人も分かっているんじゃないかな。得点を決めても、そこまで嬉しそうではなかった。

本当の意味でのアピールはこれからだろう。今後、レベルが上がった相手との試合でもチャンスを与えてほしいね。

次は、アジア2次予選のラストとなるホームでのシリア戦だ。メンバーはガラッと代わるだろうし、主力組が先発しそうだ。

シリアには前回対戦で5-0と大勝したけど、間違いなくミャンマーより力があるチーム。最終予選に向けて弾みがつくような良い内容と結果を期待したいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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