旧名川町観光ポスター復元 36年前作成、雪の法光寺参道と托鉢僧/南部町

復元されたポスターと写真に納まる法光寺の楢山武浩住職

 南部町は、36年前に作成された旧名川町時代の観光ポスターを復元した。雪に彩られた法光寺参道と3人の托鉢(たくはつ)僧が印象的で、地域住民に長く愛されたポスターだったため、町が復元を検討。当時のポスターは法光寺に1枚しか残されていなかったが、町と提携している東日印刷(東京、武田芳明社長)が、新聞印刷で培った写真加工技術で復元に協力した。

 ポスターには「北彩紀行」のロゴと「1988年」の文字が記載されており、当時の青森コンベンション協会が作製したもの。同協会には原版やネガが残されていなかった。

 町職員が法光寺でポスターを撮影して送信。東日印刷がデジタル技術を活用し経年劣化であせた色を修正した。「名川町」を「南部町」、「さくらんぼの里」を「北のフルーツ王国」に入れ替え、新たに撮影場所の「法光寺の千本松」を入れて写真データとして復元した。

 町は、復元された写真データでA1判ポスターと、再生布を使った高さ約2.4メートル、幅1.7メートルのファブリック・サイネージ「LUFAS」を作成。町役場庁舎内で展示しているほか、今後はイベント会場などで展示してPRに役立てる。

 工藤祐直町長はポスターを復元した意義について、「町の文化的遺産を未来世代に伝えることができた。観光客に地域の豊かな歴史を伝える一助となる」と語る。

 ポスターに写っている3人の托鉢僧のうち真ん中の1人は、若い頃の法光寺の楢山武浩住職(51)の姿だ。楢山住職は「托鉢を始めた頃の写真。撮影時はわらじ履きでとても寒かったのを覚えている」と当時を思い起こす。

 続けて、「私にとっては、お坊さんの修行を始めた初心を思い出す1枚だ。これからまた多くの観光客や地域住民の目に届くことになり、とても感慨深い」と話した。【全文】

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