コウノトリ、今年も白石町で子育て ヒナに足輪装着

コウノトリのひなと雌の親鳥=5月29日、白石町の電柱(撮影・米倉義房)

 国の特別天然記念物で絶滅危惧種に指定されているコウノトリが、今年も白石町に巣を作り、子育てしている。巣作りは3年、子育ては2年連続で、育っているひな1羽に7日、個体確認のための足輪が取り付けられた。

 白石町などによると、営巣したのは7歳の雄「なる」と8歳の雌(名前なし)。昨年は九州で初めて2羽が巣立ったが、うち1羽は姿を消し、もう1羽の雌「かのん」と3羽で福岡県築後町に移動した。白石町に舞い戻ることも多くて江北町や大町町、武雄市などを移動しながら越冬し、杵島郡やその周辺に「定着」しているとみられている。

 2月18日には、白石町内の昨年と違う場所で巣作りをしているのが確認された。日本野鳥の会佐賀県支部が近くに小屋を設けて見守り、九州電力送配電は感電しないように巣から高圧線を離した。3月22日に産卵、4月26日にはふ化が確認されたが、5月に巣から落ちるなどして2羽が命を落とした。

 1羽になったひなへの足輪付けは、兵庫県立コウノトリの郷公園の獣医師らの協力を得て行った。ひなを高所作業車で降ろし、体重測定や血液検査などを行って足輪を付け、再び巣に戻した。巣を離れて150メートルほど離れた田んぼで見守っていた親鳥は、一度は心配そうに上空を旋回した。

 ひなは全長83.5センチ、体重3.48キロ。性別はDNA鑑定で1~2週間程度で判明する。2週間から1カ月半の間に巣立つとみられる。

 町は巣の場所を「白石町の電柱」として詳細は公表していない。見学による車の駐車が農繁期の作業に迷惑をかけることなども懸念し、静かな環境で見守るよう呼びかけている。町民を対象にひなと名前が付いていない母鳥の愛称の募集を始めている。(小野靖久)

目隠しをしたコウノトリのひなに足輪を装着するコウノトリの郷公園の関係者=白石町(撮影・山田宏一郎)
子育てするコウノトリのつがい。右がオス、左がメス。ひなはメスの足元に隠れている=6月29日、杵島郡白石町の電柱(撮影・米倉義房)
コウノトリが今年も子育てに奮闘。大空に羽ばたくメスの親鳥=6月29日、杵島郡白石町(撮影・米倉義房)

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