開湯300年以上!「日本百名山」と一緒に行きたい「日帰り入浴OK」の名湯6選【東北編】

展望露天風呂から蔵王山を望む(画像提供:湯刈田温泉 かっぱの宿 旅館 三治郎)

東北は中央を南北に走る奥羽山脈を中心に、出羽山地や北上高地、白神山地、阿武隈高地といった大自然に恵まれ、春〜秋は登山、釣り、キャンプ、冬はスキーなどのアクティビティが楽しめる。さらに温泉地も豊富だ。

本記事では、登山やスキーの後に立ち寄りたい、東北の極楽温泉スポットを6つ紹介する。いずれも日本百名山の近くで、日帰り入浴が楽しめる。アクティビティで疲れた体を癒して、大自然をめいっぱい満喫しよう。

■【青森県】八甲田山×酸ヶ湯温泉

グリーンシーズンのほか、秋の紅葉、冬の樹氷やスキーなど、一年を通して人気の高い自然観光地の八甲田山。酸ヶ湯(すかゆ)温泉は、八甲田(はっこうだ)連峰の西麓、標高約900mの高地に位置する温泉地だ。江戸時代から湯治場として親しまれており、国民保養温泉地第1号に指定されている。

酸ヶ湯温泉には、160畳もの広さがある混浴の大浴場「ヒバ千人風呂」がある。柱のない木造(ヒバの木を使用した)建築で解放感のある空間での湯あみを楽しめる。また、異なる4つの源泉が流れており、好みに合わせて選べるのも魅力だ。混浴ながら女性専用の入浴時間が設けられていたり、湯あみ着のレンタルがあったりと、女性も気兼ねなく入浴できるような配慮がされている。また宿泊施設もあるので、滞在も可能だ。

酸ヶ湯
住所:〒030-0197 青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地
電話:017-738-6400
泉質:酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)
入浴料:大人1,000円、小学生500円
ヒバ千人風呂(混浴)営業時間:7時〜18時(女性専用時間8時〜9時)

■【岩手県】岩手山×網張温泉

岩手の名峰・岩手山(いわてさん)とセットで楽しみたいのは、岩手山の南西の麓に位置する網張(あみはり)温泉だ。付近には網張温泉スキー場や岩手山網張ルート登山口があり、スキーや登山の帰りに立ち寄りやすい好立地だ。

開湯1300年の歴史ある温泉であることに加え、季節によって湯の色が変化するのが特徴。春から秋には、青味がかった白濁した湯になり、冬は無色に近い湯になる。この湯色の変化は、源泉に混ざる沢の水の量によって硫化水素のイオン分解が影響するためだとされている。

網張温泉には5つの温泉があるが、なかでも「野天風呂」と称した露天風呂「仙女(せんにょ)の湯」が筆者のイチオシである。滝の流れ落ちる沢沿いにある秘湯で、自然を直に感じながら入浴できる。ほかにも、本館に内湯と露天の「大釈の湯」、内湯の「白泉の湯」、別館の日帰り温泉施設の「薬師の湯」、足湯の「鹿追足湯」がある。それぞれ日帰り入浴が可能なので、温泉めぐりをするのも楽しいだろう。

休暇村岩手網張温泉
住所:〒020-0585 岩手郡雫石町網張温泉
電話:019-693-2211
泉質:単純温泉 / 硫黄泉
入浴料:仙女の湯 500円(小学生以上)10時〜14時/薬師の湯 大人600円、小学生310円 9時〜17時(平日)9時〜18時(土日祝)/大釈の湯・白泉の湯 大人800円、小学生400円 10時〜15時

■【宮城県】蔵王山×遠刈田温泉

蔵王山(ざおうさん・ざおうざん)の宮城県側、蔵王山東麓に位置する遠刈田(とおがった)温泉。古名では湯刈田(とおがった)とも表記されており、400年以上前に開湯し、江戸時代から湯治場としてにぎわっていた場所だ。

遠刈田温泉の中でおすすめしたい立ち寄り湯は「かっぱの宿 旅館 三治郎(さんじろう)」に隣接する「湯の里」だ。お湯もすばらしいがロケーションもすばらしい。蔵王連峰の230度パノラマビューは、一見の価値あり。また、冬と春は雪をまとった蔵王連峰の山容、秋は紅葉の景色が楽しめる。温泉は茶褐色のにごり湯で、肌ざわりのよい滑らかな湯が心地よい。

湯の里
住所:〒989-0913 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉本町3
電話:0224-34-2216
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 低張性中性高温泉
入浴料:大人1,000円、子ども600円(3歳~小学生以下)、第1第3第5水曜と毎週木曜は大人600円、こども400円
営業時間:10時〜20時

■【秋田県】八幡平×蒸ノ湯温泉

八幡平(はちまんたい)の周辺には良質な温泉が多いが、筆者が特におすすめしたいのは八幡平の北西、秋田県側に下った先にある蒸ノ湯(ふけのゆ)温泉だ。八幡平最古の秘湯で、約400年前に開湯したと伝えられている。

蒸ノ湯温泉にある一軒宿「蒸ノ湯温泉 ふけの湯」には、自然の息吹を感じられる「野天風呂」と呼ばれる露天風呂がある。浴場には屋根がなく、周囲の荒涼とした岩肌や、蒸気が立ち込める温泉地らしい光景を楽しめる。また、枡風呂や樽風呂、岩風呂などの趣向を凝らした湯舟があるのもおもしろい。火山の恵みを感じながら温泉に浸かり、自然と一体になったような感覚を味わえるだろう。

蒸ノ湯温泉 ふけの湯
住所:〒018-5141 秋田県鹿角市八幡平 字熊沢 国有林内
電話:0186-31-2131
泉質:単純泉・弱酸性泉
入浴料:大人700円、子ども400円(3歳~小学生)
営業時間:10時〜15時

■【山形県】蔵王山×蔵王温泉

山形県の蔵王山(ざおうざん)の北西の麓には、開湯1900年の歴史がある日本屈指の古湯・蔵王温泉がある。蔵王温泉の特徴は、豊富な湯量と強酸性の硫黄泉だ。この泉質には殺菌作用や皮膚を強くする作用があるとされ、「美肌の湯」や「美人づくりの湯」とも呼ばれている。

強酸性の湯は高い美肌効果がある一方、敏感肌の人には肌がピリピリしてしまうこともある。だが、日帰り入浴施設「山形蔵王温泉 新左衛門(しんざえもん)の湯」にある「四・六の湯」は、源泉に加水をしてあるため、多くの人が美肌効果を実感できる。また、同施設内にある源泉かけ流しの足湯も人気だ。

新左衛門の湯
住所:〒990-2301 山形県山形市蔵王温泉川前905
電話:023-693-1212
泉質:酸性・含硫黄―アルミニウム―硫酸塩・塩化物温泉
入浴料:大人1000円、子ども400円、3才〜幼児200円
営業時間:10時〜18時

■【福島県】安達太良山×岳温泉

福島県二本松市にある安達太良山(あだたらやま)の東麓、あだたら高原スキー場を下った先に岳(だけ)温泉がある。約1200年前に開湯したとされる岳温泉は、強酸性の泉質が特徴だ。殺菌力が高く、慢性皮膚炎やアトピーなどに効果があるとされている。

岳温泉の中でも、筆者のお気に入りは「陽日の郷(ゆいのさと)あづま館」の湯だ。広い内湯ではリラックスして湯に浸かり、露天風呂ではヒノキの香りに包まれて森林浴のような安らぎを感じられる。また、温泉成分に含まれるメタケイ酸(保湿成分)が豊富で、肌への保湿効果が非常に高い。そのため、入浴後はしっとりと潤う肌を実感できるだろう。

陽日の郷あづま館
住所:〒964-0074 福島県二本松市岳温泉1-5
電話:0243-24-2211
泉質:酸性泉
入浴料:大人1,000円、子ども500円
受付:12時〜18時(水曜15時〜18時、土・休前日12時〜16時)

■百名山と温泉めぐりで大自然を存分に楽しもう!

山と温泉は、自然を存分に楽しむ最高の組み合わせだ。東北の山々で登山やスキーを楽しんだ後は、温泉に浸かりながら心身ともにリフレッシュしよう。本記事で紹介した6つの温泉地は、 開湯300年以上の歴史のある名湯ばかり。ぜひ立ち寄って、東北の大自然を存分に堪能してほしい。

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