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横浜市街地が猛火に包まれた横浜大空襲から79年が経過した5月29日、港北区出身で女優の五大路子さんが代表理事を務める「横浜夢座」が鴨居中学校を訪れ、同空襲を題材にした朗読劇「真昼の夕焼け」を披露した。
31万人以上が被害に遭い、7000人以上が命を落としたとも言われる横浜大空襲。同演目は、中学時代に同空襲に遭った詩人・筧槙二氏の実話をもとに制作されたものだ。
朗読劇は同校の「平和学習」の一環として行われた。体育館に集まった1、2年生と保護者約330人や教職員らが見つめる中、ステージ上には真っ白な衣装に身を包んだ五大さんや、学生服などを着た俳優らが登場。爆撃機から容赦なく投下される無数の焼夷弾から命懸けで逃げる男女の心情などを、抑揚を効かせた巧みな朗読で描いていった。
舞台後方にはトタン板や電子楽器テルミンなどを設置。音響の担当者がストーリーの展開に応じ、焼夷弾が落下する音や炸裂する爆音などを表現した。真剣な表情で聴き入る生徒たち。次第に物語と音の世界に引き込まれていった。
演技の工夫や歴史も質問
朗読劇が終わると、体育館は途端に大きな拍手に包まれた。出演者と生徒との質疑応答が始まり、生徒たちが次々と質問に立った。「登場人物が泣いてしまうシーンがすごくリアルだった。どんな工夫をしながら演じたんですか」との問いに、俳優の一人は「自分の家族がもしもいなくなったら。そう考えながら朗読しました」。
また「横浜大空襲で壊れた建物は、どのくらいの期間をかけて復旧したのですか」との質問が上がったほか、中には「『もんぺ』って何ですか。男性も着ていたんですか」と尋ねる生徒もいた。
初演の地に「感無量」
1999年に旗揚げされた横浜夢座。小中学生などに向けた平和学習の一環として、2016年から同演目を上演し続けている。五大さんによると、初演の地はこの鴨居中学校だったという。
五代さんは、空襲があったのと同じ5月29日に「初演した鴨居中学校で演じることができ、子どもたちが一生懸命に聴いてくれて感無量です」と笑顔で語った。
鑑賞した2年生の男子生徒は「空襲については教科書で読んだことがあった。でも朗読劇を聴いていると、戦時中の風景まで頭に浮かんできた。焼夷弾が炸裂する効果音が特に印象に残った」と話していた。