大坂なおみ戦での窮地を乗り越えたシフィオンテクが全仏OP3連覇!「2回戦では負けるところでしたが、そこから粘ることができました」<SMASH>

今季2つ目のテニス四大大会「全仏オープン」は現地6月8日に女子シングルス決勝を実施。ディフェンディングチャンピオンで第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界ランク1位)が第12シードのジャスミン・パオリーニ(イタリア/同15位)を6-2、6-1で下し、同大会3連覇並びに4度目の優勝を飾った。

圧巻のパフォーマンスだった。2回戦でマッチポイントを握られたところから大坂なおみ(元1位/現134位)に勝利して以降は、ココ・ガウフ(アメリカ/3位)との準決勝を含め全てストレートで勝ち上がってきたシフィオンテク。決勝でも持ち前の攻めのテニスを貫き、怒涛の快進撃で四大大会初の決勝進出を果たしたパオリーニに完勝した。

出だしのシフィオンテクは硬さが見られ、第3ゲームではストローク戦でミスを連発。先にブレークを許す予想外の展開となる。それでも絶対女王は冷静だった。直後の第4ゲームでは25本のロングラリーを制すなど立て続けにポイントを奪い、ラブゲームでブレークバックに成功。次第にバックハンドのダウンザラインやアングルショットを起点にアグレッシブさを増していき、第6、8ゲームでもブレークを果たして第1セットを先取する。

第2セットに入ってもシフィオンテクは、ショットの精度を全く落とすことなくパオリーニに付け入る隙を与えない。相手のミスが序盤よりも早くなったこともあり、第1ゲームから一気に5ゲームを連取。第6ゲームこそブレークとはならなかったものの、サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第7ゲームはしっかりとキープし、68分の快勝劇で試合を締めくくった。
ちなみにオープン化以降での全仏3連覇は1990-92年大会のモニカ・セレス(アメリカ/元1位)と、2005-07年大会のジュスティーヌ・エナン(ベルギー/元1位)に次ぐ史上3人目の快挙だ。ローランギャロスの歴史に新たな1ページを刻み込んだ23歳は、試合後の表彰式で今大会を通して強烈なインパクトを残したパオリーニをこう称えた。

「ジャスミン、おめでとう。素晴らしい2週間でした。クレーでこんなにいい試合ができましたし、これからもコートで戦っていきましょう。また決勝戦で対戦しましょうね」

続けてシフィオンテクは窮地を乗り越えた先述の大坂戦に触れつつ、次のように感謝の言葉を口にした。

「2回戦では負けるところでしたが、そこから粘ることができました。そんな私をここまで応援してくれて本当にありがとうございました。応援のおかげでここまでやり遂げることができました。全仏は(私にとって)非常に感情が溢れやすい大会です。そして家族や姉妹、私のスポンサー、母国から(私のプレーを)見てくれたみんなにも感謝しています」

四大大会での通算優勝回数を5に伸ばしたシフィオンテク。もはや全仏で彼女を止められる者はいないのだろうか。そう思ってしまうほどの圧倒的な強さだった。来年のローランギャロスでの大会4連覇も大いに期待したい。

文●中村光佑

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